ガンダムの世界・補足
これより前のエントリーの記事は、約10年前に書いたものなので、ちょっと補足。
●人類を滅亡させる方法。
これまでの歴史で、最悪の流行疾患は1918年から19年にかけて起きたスペインかぜで、感染者が6億人、死者は4000~5000万人。
当時の世界人口は、8~12億人なので、最悪で人類の6.25パーセントが死んだことになる。
これまでの歴史で最悪の死者を出した戦争は第二次世界大戦で、戦死者1500万、一般市民の死者数3800万、軍人負傷者2500万という。
死者の合計を6000万人、当時の人口を20億として3パーセントの人が亡くなった。
一方、今現在、年率1.5%で人口が増えている。
すると、2年で2.25%、5年で7.5%人口が増える。
つまり、今、スペイン風クラスの疫病や、第二次世界大戦と同じ割合で死者が出たとしても、2年または5年で、人工は減った分を上回る。
しかも、今現在、いかなる病気も戦争も、スペイン風や第二次世界大戦のような割合で、人を殺すことはできないだろう。
●文明の価値 恐竜との比較
恐竜は三畳紀(約2億5,100万年前)に、は虫類から進化し、白亜紀末期(6500万年前)に滅んだ。その期間は2億年近い。
霊長類が誕生して6500万年だからその3倍
類人猿が誕生して2500万年だからその8倍。
人類が誕生して 500万年だからその40倍。
それだけの期間、ほ乳類と同等の複雑さを備えた恐竜は地上に生きていた。
しかし、今の我々と同じような文明は、ついに現れなかった。
それは、我々の文明が、必ずしも進化の必然ではなく、特異的なものであることを示しているように思える。
●宇宙移民のリアリティ
スペース・コロニーの構想を、1971年に発表したプリンストン大学のオニールは、1980年代には10万人規模の居住が可能なスペースコロニー、「島一号」の建設が始まるだろうとまでいっていた。
今から思うと、トンデモ話に聞こえるかもしれないけど、
アポロの予算は300 億ドル。当時のレートで10兆円以上。
その頃の日本の国家予算が7兆円だった。
そしてアポロの時代、アメリカは平行してベトナム戦争も行っていた。
その戦費は累計で6000億ドル。つまりアポロ計画の20倍だ。
しかもこの戦争による死者は、アメリカだけでも5万8千人いた。
アメリカはその後何度も戦争を繰り返し、直近の対テロ戦争の関連支出も、今や8000億ドルを越えようとしている。
これだけの予算と、これほどの犠牲者を容認できるなら、スペースコロニーがとっくの昔に完成していたとしても、決して不思議じゃない。
戦争は人類の業のようなもので、全てなくすことは不可能かもしれない。
でも、これまでに費やされた額を見ると、無駄遣いにもほどがあるというかんじ。いくら人類の業だとしても、ここまで資源とエネルギーと犠牲を無駄にすることはないじゃないか。同じ浪費をするなら、宇宙への努力につぎ込んだ方が、よほど実があると思うよ。
つーか、宇宙移民のような、まるでSFの物語のような世界を、実際に作り出すだけのエネルギーや資源を、人類はとっくの昔に持っているわけだ。
●軌道エレベータで人類の宇宙移民はできるか。
新宿駅が一日75万人の乗客をさばいているらしいので、軌道エレベータも一基あたりその程度の人間を輸送できるとしよう。
東京の人口が1千万人くらいで、そこに新宿駅くらいの輸送力をもつものがあれば、移民にもリアリティが出てくる。
つまり、未来の地球人口が100億人くらいになった世界なら、7億本くらいの軌道エレベータが必要な訳ね。
●人類超生命体論
この考え自体は、実はG20の頃より前から主張していたこと。
一匹のアリは単純な神経回路しかもたず、とても知的な存在に見えないけれど、アリの巣は、牧畜や栽培といった高度な知的活動をやってのける。
それと同じで、人も、一人の人間の脳を見る限り、単純でたいした情報処理能力を持つとは思えない。
ところが、僕たちの身の回りを見渡すと、無数の人工物にあふれている。これらの人工物は、どれ一つをとっても一人の人間によって理解し尽くすことも作り出すこともできないものだ。人智を超えた無数の人工物の中で、ぼくたちは生きている。そのような奇跡が起きているのは、人の集合体である文明が、アリとアリの巣の関係と同じように、人に対する超生命体だからだ。
過去において文明は、周りの環境を壊しながら、手近な資源を使い尽くし、滅びていった。この轍を、今の文明にも踏ませてはならない。
宇宙へと到達できる可能性を獲得した文明は、この宇宙でもかなり貴重なもののはずだ。このレベルに育った文明超生命体を、宇宙へ産まれ落とすことが、これから50年あまりの大きな課題だと思う。上手にやらなければ、この超生命体の胎児は、宇宙へ産まれることなく流産してしまうだろう。
そうなったとき、文明は過去とおなじように、環境を壊し手近な資源を取り尽くして、徐々に崩壊していく他なくなる。
最終更新時間 2007年12月02日 00:07
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「宇宙へと到達できる可能性を獲得した文明は、
この宇宙でもかなり貴重なもののはず。
このレベルに育った文明超生命体を、
宇宙へ産まれ落とすことが、
これから50年あまりの大きな課題」
いい言葉です。
上記を人類の多くがしっかり理解できると、
よけいな紛争にエネルギーを使わず、
進歩のスピードが速まるかもしれませんね。
投稿者 to : 2007年12月03日 15:55
「人間の命は地球よりも重い」
なんてスローガンを耳にするとつい、人間一人一人の命は
とても貴重で素晴らしいもののような印象を受けるのですが、
人口爆発の話になるとつい、人間が地球上に繁殖する黴菌
か何かのような印象を持ってしまいます。
人間が数字になることの残酷さ、というのはつまりこういう
ところにあるんでしょうね。
生命、人権、自由、平等。美しいイデオロギーが保たれる為
には厳しい条件の制約があって、それらの条件を意識下に
置き続けるためには、居住空間と使用可能エネルギーを
増大させ続けるしかない。
ロハス、エコといった環境系のメッセージを発し続けることで
一人当たりのエネルギー消費を抑え、地球環境における
限界人口を増加させつつ、地球外環境での生存技術を発展
させてゆく。
環境問題が先進国の首長選挙の重要なファクターとなりつつ
ある現在ならば、そういった議論もあるいは可能になってくる
かもしれません。
それにしても、ガンダムの話から始まってこれだけ壮大な話に
なるとは…。
SFって、人類全体の問題を考える、最も先鋭的な学問形態
みたいですね。
投稿者 もりのひと : 2007年12月04日 10:41
ロハスやエコという言葉には用心が必要だと思います。
地球環境問題の本質は食糧問題で、気候変動による不作が国家間の紛争や国政の不安定を招きます。だから、ノーベル「平和賞」がゴアとIPCCに贈られたわけね。
しかし、いわゆるエコとかロハスと表現されるものの中には、実効性がないものや、返って問題を悪化させるものがありますし、これからそういうものがどんどん増えてくるでしょう。
典型的なのはバイオエタノールで、バイオエタノールを推進すると、飢餓は拡大します。
投稿者 鹿野 司 : 2007年12月04日 16:06
お返事ありがとうございます。
ゴアとICPPが贈られたのが「平和賞」であったことの不思議さにはまったく気づきませんでした。ご意見を伺って思わず膝を打ったしだいです(^^;
ICPPがまとめ上げた報告が「温暖化は人間の社会活動が原因である可能性が非常に高い」という不確実性を保持した内容であった点、またそこに温室効果ガスに関する文言も含まれていない点などに違和感を感じています。実を言えば、それ以前からいまいち環境ブームに乗り切れていません。
あまのじゃく、というつもりはないのです。
ただ、身の回りの情報を自分自身で判別し、自らの行動を決定したいとは思っています。
ただそれだけのことが、なかなかうまく出来ません。今まで不勉強で通してきた自分の不明を恥じるばかりです。
そんな私にとって、鹿野さんのブログは、リテラシーの高い方の率直な意見を読むことの出来る、貴重な情報源です。
これからの内容にも期待しています。
投稿者 もりのひと : 2007年12月06日 12:34










