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2006/11/11

産婦人科の困った人

 産婦人科は、現代医学でもどうしようもなかった死産や病気の子の出産に対して、訴訟を起こされる確率が非常に高いので、すでに新しくこの診療科を選ぶ人は激減している。
 これは大きな問題で、一生懸命がんばってくれている現役の医師たちには頭が下がるばかり。
 ただ、そうはいっても、非常に巧妙なやり方で、必ずしも患者の利益を目指していない医師もいるらしい。

 その1

  不妊治療が今や非常にメジャーになっていて、試みる人も多くなっている。
 なぜ、子供ができにくいのか。
 実は、その背後には、遺伝的、先天的リスクがある確率が高い。
 親の遺伝子に、なんらかの欠陥があるから、きちんと受精できなかったり、正しく発生できずに流産してしまうわけだ。

 ところが、そういう基本的なことを、不妊治療を試みる夫婦に伝えない医師がいるようだ。

 友人の病院に、ある夫婦が訪れた。カルテを調べると、3年前にも来院していて、そのとき別の医師のところで不妊治療をして出産していた。でも、その子は、腕も持ち上げられない、生涯寝たきりの先天異常児だった。

 妊婦さんにそれとなく聞いてみたところ、二人目が欲しいとその産科医に相談したら、何の躊躇もなくやりましょうと言われ、しかも遺伝的リスクの話は全く聞いていない様子だったという。不妊治療は、非常に利益率の高い治療なので、それを躊躇させるような情報は与えていないのだろうか。

 で、しょうがないので、大学内で倫理委員会をひらいて、みんなで相談。リスキーなことは明らかだけど、出生前診断とかするべきか。色々議論はあったけど、結局、やってくれと望まれていないことを、こちらから申し出るのは問題があるということで、何もしないことになった。

 幸いにもというか、その夫婦の二人目の子には先天異常は出なかったというけど、なんだかなあって話。

 その2

 不妊治療の場合、技術的な制約で、たいていは双子以上になる。まあ、昔みたいに5つ児、6つ児というようなケースはほとんどなくなったけど、双子になるのは普通だ。

 ところで、ときに、双子のそれぞれのへその緒が、途中で癒着してしまうことがある。
 そうすると、浸透圧の差で、片方の子のほうにたくさん血液が行き、もう片方の子にあまり血液が行かなくなる。その結果、たくさん血液が行く方は、異常に大きく育ち、同時に慢性高血圧になる。血液があまり来ない方は、小さく、慢性貧血になる。深刻なのは大きくなった方で、心不全を合併して、助かる確率は低い。

 でも、これはエコーを見ていれば、すぐにわかる。へその緒の癒着は見えるし、大きさの差が付いてきたら、それもすぐわかる。
 で、わかったら、一刻も早く帝王切開で取り出したほうが、予後は良い、というか、ほとんど何の異常もなく育つことができる。

 ところが、臨月間近、もうどうしようもなくなってから、大学病院に送りつけてくる産科医がいるらしい。急に大きさに差が付いてきたから見て欲しいとかいうんだけど、3倍も大きさが違うのに、わからなかったわけがない、確信犯だと友人は言う。

 産婦人科は、今の保険制度では、出産だけではペイしないそうだ。それに遡るケアや検査などを全て併せてやっと元が取れる。つまり、利益率の高いぎりぎりのところまで引っ張っておいて、どうにもならなくなってから大学病院へ回しているわけだ。

 しかも、このような産科医は、とても親切で親身に診てくれるので、あの先生はすばらしかったという評価になる。もはや手の施しようがない状態で送られてきた大学病院では、子供を死なすことになり、なんだあの酷い病院は、訴えちゃる、ということになる。

最終更新時間 2006年11月11日 08:29

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不妊治療で、たいていは双子になるとか、双子になるのは普通だというのは、いかがでしょう。
不妊治療でも双子になるのは、普通だとは捉えていません。
単胎で妊娠して生んでいくことのほうが数的には圧倒的に多いですし、移植胚の数を減らし、安全に出産できるようにと段々と治療傾向も動いています。

投稿者 ちゅん : 2006年11月25日 22:40

あー、その通りですね。
多胎児になるのは、不妊治療の中でも、体外受精に限ってのことでした。移植杯の数は、昔のように5つ子、6つ子はなくなってきていると思いますが、やはりまだ双子以上が一般的です。

投稿者 鹿野 司 : 2006年11月26日 03:20

双子以上が一般的って?それは本当のことですか?
それは、ちょっと前の不妊治療ではないですか?
多胎になるのは、体外受精に限ったことではなく、排卵誘発剤を使用したタイミング指導、AIHにもあることです。
むしろそちらの方が怖いこともあります。なので最近では、3個以上の卵胞が確認できた時点でタイミング指導もAIHもキャンセルをするという治療周期も増えてきました。
移植の胚の数は、学会の会告では3個としています。一部の医療機関で3個以上戻しているということもあるようですが…

投稿者 ちゅん : 2006年11月26日 21:51

 なるほど。本文の記述は、小児科医から聴いた印象と、移植胚3個という事から、そうだろうとしたわけですが、これはスペキュレーションでした。統計データなどに当たったわけではありませんので、最近の事情とは違っていたかもしれません。
 本文の趣旨とは違うので、あまり深く調べてはいないのですが、
http://narita-hospital.or.jp/main/p14_seiseki.htm
 によれば、成田病院における平成14年での多胎妊娠率は15~20%とのことです。
 だとすると、「たいてい双子以上」というのは言い過ぎでした。ただ、率としてはかなり高いと思います。

投稿者 鹿野 司 : 2006年11月27日 11:39

今は、移植胚を1つに制限する治療施設も増えてきました。
しかしまだまだ自然の妊娠から比べたら双子などの多胎率が高いのも確かなことです。成田病院の15~20%も相当高いと思います。産むお母さんも大変、お腹にいる赤ちゃんだって大変。
人間の子宮は、1人用にしかできていないので、当然のことです。
周産期医療からの話では、不妊治療の患者さんは高齢出産の方も多く、ハイリスクの方が多いと聞きます。もっと不妊専門医と周産期を預かる医師と小児科が連動していかなくては!!と思うのですが、それがなかなかというところなのでしょう。
これって人類の未来にも関わる大事なことだと思うのですが、何だか違う方面に不妊治療が歩き出しているような気がしてなりません。なんだか美容整形のような感覚のところもあるような。ないような。
またいろいろと問題提起して書いてください。

投稿者 ちゅん : 2006年12月04日 19:31

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