wisdom Business Leaders Square
ビジネスに役立つ「次の一手」をあなたに
ビジネス用語辞典 Wisdomブログ

経営戦略 成功ストーリー マネジメント ビジネススキル ITトレンド IT講座 マーケティング ちょっと一息

2006/05/31

科学の楽しみ方・ボルバキア=性を操る準オルガネラ

 科学は色々考えていくのが楽しいという例のもうひとつとして、やっぱりmixi内で書いたボルバキアの話をご紹介。

・雌にする病原体またはオルガネラ

 ネイチャーのハイライトに「ボルバキアにぴったりのすみか」という記事が掲載された。

(読むには登録が必要)

 ボルバキアは節足動物に広く見つかる、細胞内寄生生物だそうで、卵子を介して子どもに感染する。しかし、精子には侵入できない。つまりミトコンドリアと同じ性質をもっている。

 で、このボルバキアは、本来雄になるはずの子を雌に変えたり、雌が雄なしで雌しか生まないようにしてしまうんだと。

 ボルバキアは種を越えた水平遺伝もする。感染したボルバキアは、卵を形成する胚腺の幹細胞に侵入し、その幹細胞から卵が作られるときそちらに移っていくらしい。

 進化的にも生態学的にも凄く面白い。

 遺伝子を組み換えたボルバキアは、カの体内でマラリア原虫成熟を阻止するので、マラリア防除の手段になるかもと書かれているけど、水平遺伝するような遺伝子組換え生物を使っちゃイカンだろう。


 ……という日記を書いたんだけど、ボルバキアってどんなものかよく知らないので、とりあえずグーグルで調べてみることにした。

 そして、昆虫の性を操るバクテリア

をみてさらに驚く。
ボルバキアは全昆虫類の7割に感染しているそうだ。
まあ、それはいい。

すごいのは、ここから。
 ボルバキアに感染するファージ(ウイルスのこと)がいて、普段はこのファージの遺伝子は、ボルバキアのゲノムの中に組み込まれておとなしくしている。
 しかし、水平遺伝で、それまでとは別の宿主に感染すると、内在していたファージ遺伝子が活性化して、他のボルバキアに感染できるファージを作りはじめる。

 その結果、異種宿主に侵入したボルバキア間で、遺伝子情報の交換が行われるのだそうだ。その結果、素早く進化が起こって、新しい宿主に適応したボルバキアが生まれるわけね。

 すげー。なんか微妙に入れ子構造になっている感じだし。

 と書いたところ、

S.MATSU さんが

ボルバキアのグーグル検索2番目ですが
世界初、微生物から多細胞生物へのゲノム水平転移を確認 -生物進化論などへ影響か

 これもすげえ。こんなことが実際に起きているのか!種と種の間は、遺伝子断片的にはつーつーなのか?

と紹介してくれた。

 ゲノムプロジェクトで、ヒトのゲノムの中にも、細菌由来の配列がいくつも見つかっている事は知っていたけど、細菌の遺伝情報が、多細胞生物のゲノムに組み込まれているのを、はじめて見つけたのが日本の研究だったとは知らなかった。

 問題は、いったいどんなメカニズムで、細菌の遺伝子断片が、多細胞生物のゲノムの中に紛れ込めるのかということだ。これについては、まだ今のところ手がかりはないと思う。


 ボルバキアのあり方は、進化的に見ると、ミトコンドリアみたいに、完全なオルガネラ(細胞内小器官)になりかけている途上の姿にもみえる。
 でも、長い進化の歴史を経て未だに完全なオルガネラになっていないと言うことは、完全なオルガネラにならないことに、何か意味があるような気もしますな。

と書き込んだら、こんどは、こ・ばやしさんが、

ミトコンドリアや葉緑体の様に宿主ヘのメリットがあるのかどうかが気になりますね。遺伝子の水平移動装置としてといっても、宿主ヘの影響は少なそうだし。

と書いてくれたので、

まあ空想ですが

ボルバキアは虫たちを雌化=単為生殖化する。
単為生殖になった虫たちは、身近に雄を見つけられない劣悪な環境でも増殖して、棲める環境を広げる。
新しい環境で仲間が増えたとき、何らかの理由でボルバキアが排除されると、有性生殖が再開されて、寄生生物への耐性が増す。
ムシたちがさらに新天地を求めるか、環境が再び劣化すると、ボルバキアを持った個体が復活する。
最初に戻る

と言うようなことが起きていれば、ボルバキアが虫たち一般に広く分布している理由が説明できるかもしれません。

なんとなく、微生物のプラスミドにも似ているなあ。

さらに、ボルバキアは通常、単為生殖で増えているのですが、水平遺伝で異種生物の体内に侵入したとき、ファージの助けをかりて有性生殖を行うわけで、それが入れ子というかメタと言うか超寄生なわけですね。
 こちらは環境が厳しいほうが、有性生殖をやるわけですが。

 と、考えてみる。

 性の進化では、雌だけで増えられる単為生殖のほうが、雄雌必要な有性生殖よりも有利なはずなのに、なぜか自然界には有性生殖を行う生物が少なくないという疑問がある。
 で、これの一応の回答は、上の、過酷な環境では素早く増えられる単為生殖が有利だけど、環境が安定なときは、遺伝的なバリエーションがあったほうが、寄生生物に対する耐性が増すので有性生殖を行ったほうが有利だというものだった。
 でも、さらに過酷な環境でいつ死んでもおかしくないくらいだと、デタラメでも良いから遺伝子交換(有性生殖)を行って、バリエーションを作ったほうが、生命の連続性を保つには良いのかもしれない。
 そういえば、哺乳類でも放射線を浴びたり強いストレスにさらされると、ゲノムに含まれるウイルス由来などの動く遺伝子が、活性化するらしいし……。

 と、こんな感じで空想していくわけね。楽しそうでしょ?

最終更新時間 2006年05月31日 14:52

このエントリーのトラックバックURL:
http://www.blwisdom.com/mt/trackback/1356

 先日、流し聞きしていたラジオから、「人間などの生物も、単独の生命体ではなく、細菌やウィルス等との共生体である、という論文がサイエンス誌(だったか?)に掲載された」というニュースを聞き、感銘を受けました。
 で、その根拠としてニュースが挙げていたのが、
「人間などの排泄物を分析すると、DNAの大半が細菌由来だったから」なんだという事で…
 それは違うだろー!

 いやー、科学って大切ですよね。

投稿者 いわた : 2006年06月02日 17:42

 それは違うわね。
 排泄物の乾燥重量の2/3くらいは腸内細菌だから。

 しかし、ヒトゲノム・プロジェクトの結果として、人のゲノムの3分の1以上がウイルス由来だと言うことが解ってます。

投稿者 鹿野 司 : 2006年06月02日 19:16

「mixi内で書いた」というのは、どちらかのコミュニティで書いたものですか?
それとも日記でしょうか?(日記は公開されていないようですが)
鹿野さんが書かれたものでしたら、ぜひ読みたいです。

支障があれば、この書き込みは削除してください

投稿者 匿名切望 : 2006年06月04日 01:16

コメントしてください




情報を記憶しますか?


※必ずこの『Wisdomブログ利用規約』をご一読いただき、同意された上で投稿して下さい。