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2005/09/26

ソニーの明日はどっちかな

ソニー、新経営方針を発表。05年度営業利益は200億円の赤字
-エレクトロニクス15事業撤退。HDやCellを積極推進

 ソニーが好きだった人は、少なくないと思う。

 かく言うぼくも、かつてはソニーが好きで、古くはスカイセンサーとか、βとか、トリニトロンとか……を買ったりした。

 その理由は、やっぱり、ソニー製品は性能が良いし、デザインもカッコ良かったこと。 それから、実際に使ってみると、その使い心地もなかなかよろしかった事だ。
 おそらく、ソニーはユーザー・インターフェースについての検討を、他のメーカーよりは時間をかけてきちんとやっていたのだろう。(今は知らないけど)

 でも、不思議な事に、いつの頃からか、ソニー製品を購入する事はほとんどなくなってしまった。

 その時期は厳密にはよくわからない。
 今日のソニーの凋落ぶりは、先代社長の責任だと言われたりもするようだけど、その傾向はもっと前からあったような気がしないでもない。

 なぜ、ぼくがソニー製品を買わなくなっていったか。
 それはたぶん、ぼくが勝手に思っていたソニーらしさが、ソニーの中から徐々に失われていったからだろう。

 独自の規格を作っては転けるというのは、ソニーの良くあるパターンで、βもある意味そうかもしれないし、Lカセットとか、名前も思い出せないような規格が山のように産み出されては消えていっている。

 ソニーが新しい規格のものを出した時、ぼくは大抵こんなふうに考える。
 あー、またこんなの出してる。こんなの売れるわけないよな~。
 ……でも、こういうところは良さそうだね、この部分は意味あるね。
 そんな感じ。

 メカや技術が好きな人間なら、言葉で説明されなくても解る何かが、そこにあった。
 まるでソニーの技術者が、ぼくはこういうものがあったら嬉しいと思うから作ってみたけど、どうだろう?と、問いかけてくるような。

 でも、今のソニー製品からそういうものを感じる事は余り無い。

 たとえばカール・ツァイスのレンズを採用したデジカメとか言われると、ちょっと、ピクっとくるものはある。でも、だからどうなのよ。そんなのただのブランド名に過ぎなくて、ぼくの求めるものはそこにはない。
 色々ご託を並べられて、凄い性能とかアピールされても、なんかちょっと違う感じ。

 ぼくは、デジカメだったら、パナソニックのLUMIX DMC-FZ1 みたいなものに心引かれる。
 このカメラは、CCDなら受光面面積をフィルムより小型にできることを利用して、掌の上に乗る小型カメラでありながら、焦点距離が35ミリ換算で35~420ミリの12倍ズームかつ、全域解放絞りF2.8という、フィルムカメラではあり得ない性能を実現した。
 これは今までにない、デジカメでなければなし得ない、全く新しいアイデアだ。

 考えてみると、いつの頃からかソニーには、こういう新しいアイデアが乏しくなっていったような気がする。

 一時のソニーは、優れた実装技術を使うなど、軽薄短小化の最先端を走っていた。パスポートサイズのビデオカメラとか。でも、それは量の革新であって質の革新ではない。(というのは、ちょっと言い過ぎなんだけどね。高密度実装には地味ではあるが新しいアイデアがたくさん必要だから)

 新しいアイデアの減少。それはぼくがソニーに魅力を感じなくなっていった、一つの理由ではあったと思う。

 規格のコトに話を戻すと、ソニーの新規格で、これはもうムリと、ゲンナリしてしまったのがメモリースティックだった。

 この規格は、他のものより後発で、しかも技術としては他より劣っていた。かつてのソニーだったら、技術的になるほどと思わせる何かが必ずあったものだけど、これに関してはそういう輝きは微塵もなくて、ただ、独自の規格にしたいがためだけに出したものとしか思えなかった。

 それから、シリコンオーディオやICレコーダーで、MP3をあくまで排除して独自規格にこだわり続けた事。

 独自規格というビジネスは、確かに成功すればウハウハだろう。
 たとえばプレイステーションは、近年のその成功例だ。
 また、著作権の侵害も、規格の力で押さえ込んでしまいたいのだろう。

 そういう「大人」的な考えは、まあ立場としては理解できなくもない。
 でも、それは企業側の事情を優先させ、ユーザーの満足感を犠牲にするやり方だったのではないかと思う。

 かつてのソニーが新しい規格を提案する時、新しい技術で新しい世界を切り開こうという気概があったように思える。それは、ちょっと青臭く、バカっぽいところもあったけど、ユーザーに良いと信じるものを提供しようとしていた。うはー、夢が広がりんぐって感じ。そこがソニーの格好良さだった。

 でも、今のソニーの規格は、目新しくもなく、限られた世界を囲い込むために作られたようなものでしかない。そういうものに、ぼくは全く面白みを感じない。

 ただ、今のソニー製品でも、たまに断片的に昔の香りが漂うものもある。そういうのを見ると、昔ながらのソニーマインドを持った少数の人たちが、今でもがんばっていて、でも、立場的に恵まれていないんじゃないかといらん心配をしたりして。

 今回の改革で、ソニーは高級ブランドのクオリアを止める事にしたようだ。
 これは結構な事だ。

 クオリアは、デジタル機器の高級ブランドを確立しようと考えたのだろう。
 でも、それなら、デジタル機器の宿命である速い性能の陳腐化をどう補うかを、真剣に考える必要があった。
 ところがクオリアは、ただ、とんでもない高価格さえつければ、消費者は高級品だと誤解してくれるだろうという、浅ましい考えに基づく製品群にしか見えなかった。

 一方、キュリオの開発も縮小されるというのは、ちょっとどうかと思う。
 キュリオは、昔ながらの技術のソニーのイメージを残す、数少ないものだからだ。
 キュリオは、たぶんそれ自体が市販される事はない。
 でも、「インテリジェンス・ダイナミクス研究所について思う事」で書いたように、これをプラットフォームにして、次の時代を切り開くような基礎よりの研究がされている。

 まあ、200億円も赤字を出してしまっては、なかなか難しいのかも知れないけれど、収益性だけを考えてこういう基礎を犠牲にすると、結局は先細りになっていく可能性は大きいと思う。

 いずれにしても、ソニーにはがんばって欲しいとは思っている。そして、できれば昔の雰囲気を取り戻して欲しいものだにゃあ。

最終更新時間 2005年09月26日 06:44

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