日本の電子本に未来はあるか
amazonのキンデルやアップルのiPadの登場で、アメリカでは電子本の市場が急拡大しそうな雰囲気だよね。
amazonは誰でも電子書籍を作れるツールを無料公開しているし、条件次第では、作者に印税率70%を約束している。アップルがitunes ベースで本を販売するようになれば、これまでの音楽やアプリケーションと似たようなことが起きて、本の形態そのものにも大きな変化が出てこざるを得ないだろう。
誰でも電子本が作れるということは、同人誌みたいな物が低コストでどんどん本にできるってことだ。その著者に利益が出るかどうかは別だけど、とりあえずこれまでよりも多数の本が登場しやすくなる。当然、本一冊あたりの値段は安くなっていくと思う。
iPhone みたいに、iTunes がネットにつながっているのって、超無駄遣いしやすいインターフェースなんだよね。曲でもアプリでも、100円とかだとあまり迷いなく、衝動的にポチッてしまう。でも、それは値段が安いからだし、ほとんどのコンテンツが、その安い値段の相場に収斂する。
たとえばアプリの相場は100円で、それ以上の値付けの物はあってもよほどのことがないとポチらない。
同じように、電子本も冊子体の値付けとは違う、かなり安い物になって行かざるを得ないんじゃないかな。
その結果として、ばら売りみたいな形で、細切れで売るようなことも起きてくるだろうけど。小説だと、一章100円で、良いところで次に続くとか。あるいは、イントロ部分は無料で出して、本文は1000円とか。
書籍の電子化は、読書家ほど望んでいると思う。なにしろ、読書家の本の数ってのは、1000や2000じゃ少ない方だから、場所を取ってしょうがない。家も、鉄筋コンクリートのマンションでないと床が抜けるので、安いところには住めなくなるしね。全ての本が電子化されるなら、そういう苦労はなくなるし、たくさんの本をいつも持ち歩けて幸せってわけ。
でも、日本ではこれまで、電子本の普及はことごとく失敗してきている。
その状況は、これからもしばらく変わりそうにない。
キンドルは日本語対応はされていないし、twitter で流れた情報で、日本の出版社向けのアマゾン・ジャパンの事業説明会では、日本語サービスの展開は1~2年はしないと明言されたらしい。その前に、日本の出版社に、権利処理やデータの準備と、新刊書籍と電子書籍版の同時発行を要請したとのこと。
これは情報源としては確実ではないかも知れないけれど、オレ的にはかなりリアリティのある話だと思う。
それから、iPad も当面、アメリカ以外での電子本の提供(iBooks)をしないみたい。
なんで日本で電子本が普及しないかというと、その最大の理由は、フォーマットが統一されていないからなのね。
書籍データそのものは、すでに完全に電子化されている。だから電子化は簡単にできそうに思えるかも知れないけれど、現場ではフォーマット変換の経費をまかなえるだけの数、電子本が売れないという大きなボトルネックがあるのね。
実際、友人の結構売れている作家さんでも、電子本による収入は一冊年に数千円ってところらしい。つまり数十冊くらいしかダウンロードされないわけだ。
一つのフォーマット変換につき、たった数万円程度なんだけど、そんな金額さえペイできないくらい電子本は売れない。ましてや3種類も4種類もフォーマット変換したら、出版社は赤字にしかならない。
これはもちろん、鶏が先か卵が先化って話ではある。
電子本は、買いたいって思う最新刊とかは滅多になくて、こう言っちゃあ悪いけど古いベストセラーみたいな、もうとっくに読んでしまったものとか、もともと興味の持てないジャンルの本とかしかなかったりする。
そうすると、高価な専用電子ブックリーダーをわざわざ買う気にもならないし、すると電子本も売れない。欲しいと思えるような本のほとんどが電子本になるなら、電子ブックリーダーを買う気にもなるけど……
まあ、電子本を欲しがるのは、今のところはかなりの読書家で、どっちかっていうとベストセラーより、マイナーなロングテール型の本が欲しいんではないかと思う。でも、そういう本は電子化してもペイできない可能性が高いのね。
てなわけで、フォーマットが統一され、変換の経費が安くなれば、ほとんどの本が前よりはデジタル化されやすくなり、そうなると普及がはじまる可能性が出てくるかも知れない。
このへんがきちんとしない限り、amazonもアップルも日本での電子本提供にうま味を感じないのは明らかなのね。
いちおう、
大手出版21社、電子書籍の業界団体を設立
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1001/14/news087.html
って話もあるんだけど、
しかし、この動きは、紙の本の出版権とデジタル化権をまとめられる事を狙っているのではないかという懸念もある。
http://www.kotono8.com/2010/01/14digitalization.html
これは書き手にとって、電子本はメリットがあるかって話だ。
今のところ、紙の本の出版権とデジタル化権は別なので、紙の本を出して、それとは独立に、もっと率の良い会社とデジタル権の契約とかできるってわけ。
でも、どうなんじゃろうね。これって、ものすごく本が売れる人の場合はいいかもしれないけど、そうでない、具体的にはオレみたいな、それほど売れることは見込めないジャンルで寡作な人間にとっては、必ずしも良い話にはならない。
紙の本でめっちゃ売れる人なら、電子本にしませんかってオファーがあって二度おいしいかも知れないけど、売れない本だと電子本で利益は出ないからオファーもない。あるいは最初から電子本としてしか出さないって考え方もあるけど、その場合、率が上がっても貰えるお金は少なくなる可能性もある。
紙の本は、売れる見込みのあまりない本だと、たとえば1500円の定価で初版3000部で印税率8%とか。つまり36万円ね。一冊本を書いて36万円では暮らしていけないよ。しかもこういう本は増刷されることはまずない。つまり、別に職業を持った人でないと、マイナージャンルの本を書いて喰っていくのは難しい。
デジタル本の場合、販売数が一冊単位でリアルタイムに把握できるので、たぶん印税みたいにまとまった金額は入ってこない。1500円の本が40%の率で一冊売れたとして600円貰えるとする。
これで36万円にするには、600冊売れないといけない。これ微妙な値なんだよね。それくらい売れそうな気もするけど、実はゼンゼンそんなに売れないかも知れない。しかも、この場合、お金はまとまっては入ってこないで、毎月数万円とか、ヘタしたら数百円とか。
この種の電子本を何十冊も出せば、ロングテールに売れて月々の収入になって暮らしていけるかも知れないけど、その域に達するまでがたいへんだ。
あと、最初から電子本だと、無名の人はどうやって知って貰ったらいいかわからないよね。いろいろむつかしいわね。
これまでの動きからすると、amazonやアップルの思惑としては、日本の出版社がフォーマットを統一して、新刊は必ず電子本も一緒に出すみたいな環境になるのを待つという感じかも知れない。
その場合、著者が電子本の契約を冊子体とは別の会社と行うってなことは、起ききにくいだろう。その場合、電子本の価格も冊子体とほとんど同じで、著者に払われる印税率もあまり変わらないかも知れない。結果として、著者が電子本から得られる利益はあまり大きくなくなる。しかも、冊子体の刷部数も電子本同時発売に伴って減らされるかも知れない。
でも、日本の出版社がそういうフォーマットの統一や冊子体と電子本の同時発売になかなか踏み切れないなら、それを無視して先に日本語の書籍を誰でも作れるソフトの提供と、それをキンデルで買えたり、iBooksで買えたりする環境を先に作ってしまうかも知れない。そうなると、同人誌とかばら売りの本ができてきて、そちらからの変化が出版社にダメージを与えていく可能性もある。
ただし、amazonやアップルにとっては、日本語の書籍の市場はたいして大きくはないだろうから、そういう形で、既存の日本の出版社に配慮せずに、積極的に日本語電子本作製環境を提供するようになるかどうかはちょっとわからない。
こういうことは、変化がどういう順番で起きるかに依存しているので、今の時点で電子本環境がどうなるかは、まだはっきりしないかな。
最終更新時間 07:20 | コメント (5) | トラックバック (0)
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サはサイエンスのサで190P4行目から8行目のが?
浮き輪とってくるのでなくて?
気になって夜しか眠れません
投稿者 baby : 2010年02月02日 13:43
あー!3行目に答えがあったー
このイルカに「水かきを見せたら、水中めがねを取ってこい」って教えてやりたい。
はぁ、もう消えてなくなってしまいたい。
投稿者 baby : 2010年02月03日 03:30
電子本にしなくては本の未来は無いでしょう。
紙の本に未来は無いと何年も前から感じています。
神の本は木を減らすし、何より置き場所に困る。
また何十年も持つわけではない。
最近、昔買った朝日ソノラマ文庫を何冊も読みなおしていますが、黄ばんでいて読みにくい本が多くなりました。
内燃機関と紙の本は、早い所過去の遺物にすべきですね。
投稿者 Yuto : 2010年02月07日 13:58
日本の電子本市場は完全にマンガで決まると思います。
週間マンガ雑誌のように大量発行、大量廃棄の文化がいつまでも続くとは思えない。そもそも読みたいコミックは数が限られている。週間連載マンガも、バラ売りにして2週分で100円、とかいって売れば、一気に普及しますよ。コミック単行本なんかはうってつけのコンテンツだと思います。小学生から大人まで、確実に電子ブックが欲しくなりますね。
出版社が徹底的に抵抗するでしょうけど。
投稿者 takataka : 2010年02月08日 18:21
日本の電子本市場は完全にマンガで決まると思います。
週間マンガ雑誌のように大量発行、大量廃棄の文化がいつまでも続くとは思えない。そもそも読みたいコミックは数が限られている。週間連載マンガも、バラ売りにして2週分で100円、とかいって売れば、一気に普及しますよ。コミック単行本なんかはうってつけのコンテンツだと思います。小学生から大人まで、確実に電子ブックが欲しくなりますね。
出版社が徹底的に抵抗するでしょうけど。
投稿者 takataka : 2010年02月08日 18:22









