大江戸歌舞伎
橋本治 著『大江戸歌舞伎はこんなもの』(ちくま文庫)を読み終わりました。
橋本治氏の著書は面白いものが多くて、ちょくちょく買っては読んでいます。でも私、橋本氏の長めの本は苦手で、途中でプロットが追えなくなってしまうんです。脱線が多いのはむしろ好きなのですが、文が長いとスタックがどこまで積まれたのか分からなくなってしまう。そういう意味ではあまり優秀な読者じゃないのだろうなと思います。
『大江戸歌舞伎はこんなもの』は、もとはパンフレット様なものに掲載されたものを集成したとのことで、連載ものが並列に並んでいる雰囲気です。区切りがはっきりしているので、私でも最後まで乗り切れました。
別に歌舞伎に興味があるわけではありません。というか、一度も観たことがありません。
うしろの解説に書かれて初めて気がつきましたが、《題材は歌舞伎ですが、私が取り扱っている歌舞伎は、「現代の歌舞伎」ではなく、今から百年以上も前の歌舞伎です。実際に見たことがある人は誰もいません。誰も見たことがないものを紹介するのならともかく、この私は、誰も見たことがないものを「既知のもの」にしてしまって、「それはいかなる構造を持っていたのか」と説明をしています。》です。ですから実用には供しません。あらら。
それでつまらなかったのかというと、それがどっこい。
江戸時代の歌舞伎のことを知っても、知ったかぶりはできてもしょせんトリビアなんでしょう。けれどね、歌舞伎が芸術としてみんなに崇め奉られている現代の状況とは違った、それが生きていた頃のダイナミックさというのを読者にイメージさせてくれていて、結果として現代歌舞伎に親しみを感じる仕組みになっているんですよ。
例えは悪いけれども、博物館にきれいに飾られた化石を解説しているのではなくて、その古生物が生きていた時代の視点で生態を語ってくれている感じです。
どうも具体的な説明にはなっていませんが、一度手にとられてみてはいかがでしょう。橋本治氏の書籍はどれも、孤高の対象を小難しいままに受け売りするのではなくて、一回ぶっちゃけてしまってから「こんな感じ」と総括してくれるので心地よいですよ。
最終更新時間 2007年09月13日 23:00
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