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2009/03/17

資料・トピック74:WEBによる伝播&協働開発事例としての「初音ミク」

3月も中旬、3/17から東京ビッグサイトで東京国際アニメフェアが開催されます。2002年の初開催からはや8回目、次回あたりに訪問レポートを紹介予定です。

さて今回は、「初音ミク」の最近の活用事例についてご紹介します。
ご存知の方にとっては今さらでしょうが、クリプトン・フューチャー・メディアが開発した、ユーザーが入力した音階と歌詞に合わせて歌ってくれる合成音声ソフトの「キャラクター・ボーカル・シリーズ(CVシリーズ)」第1弾として作られた16歳のバーチャルアイドルです。
Wikipediaによると、年間1000本売れればヒットの商品ジャンル(DTM:デスクトップミュージック)で、2007年8月の発売後数週間で3000本以上が完売、2008年9月時点で累計約4万2千本を販売したそうです。

ITmedia Newsが約1年前にしっかりした記事を発表していますので、ご興味をお持ちの方は、まずそちらの記事「クリプトン・フューチャー・メディアに聞く (1)(2)(3)(4)」をご覧下さい。(他にもWEB各所で紹介しきれないほど大量の評論が書かれていますが、ここでは省略します)

開発当初目指していた、声を“本物っぽく聞かせる”(=生声ボーカルの代用品としての完成度を高める)方向から、デフォルメされたアニメっぽい声のキャラクターを“演じてもらう”(=誰かのコピーではない「未来のアイドル」を新たに創造する)方向に発想を転換したことが、すべての始まりだったようです。

これまでにも、CGでバーチャルアイドルを作り、声優や歌手の声に乗ってネットやゲームで歌い踊るコンセプトのキャラクターは多数開発されており、古くは「伊達杏子」や「ピンクレディーX」が、最近ではアーケードゲームから始まった「THE IDOLM@STER(アイドルマスター)」や「オシャレ魔女 ラブ and ベリー」(こちらは女児向けですね)が話題になりました。
これらと「初音ミク」との決定的な違いは、ユーザー参加の自由度とインタラクティブ性によるCGMなどの広がりがあったか否かではないかと思います。

元々の用途に沿った、自分が作った曲を歌わせることはもちろん、様々なアニメソングを歌わせたり、イラストを書いたりフラッシュアニメにして動かしたり、フィギュアを作ったりと、「初音ミク」をネタにしたあらゆる二次創作活動が一気に活発化し、ニコニコ動画(41,339件;3/17現在)やYouTube(18,900件;同)などの動画投稿サイトを通してWEB上で多数発表され続けています。
細かいストーリーを公式に決めず、ユーザー各自の想像の余地がある、二次創作意欲をかきたてる素材に徹した絶妙なコントローラブル感がよかったのかもしれません。
こちらこちらこちらにレポートされているように、特にコメントが付けられるマッシュアップ機能を備えているニコニコ動画が大きく貢献したようです。

現在「初音ミク」を取り巻くユーザーやファンには以下の3タイプが存在し、多重構造を形成しているものと思われます。

1)自分の楽曲を多くの人に聞いてもらいたいミュージシャン&予備軍
 → 従来はこれらのコア層に向けてのみの商品展開だったため、当初は注目されず市場も広がりにくかった
2)バーチャルアイドル「初音ミク」そのものに魅力を感じる萌えキャラファン
 → ネットユーザーを中心に大きな注目を集めるきっかけとなった
3)オープンソースとしてアマチュアが自在に扱える感覚に惹かれる二次創作活動者&予備軍
 → 現在はこちらの人達が現象を支え、様々なコラボを実現する牽引役となっている

これら目的や嗜好性が異なるユーザーやファンを束ねる象徴として、“バーチャルアイドル”としての思い入れが可能な外見とパーソナリティーを備えた形に可視化・具現化することで、ファン欲求としてのキャラクターへの感情移入や二次創作活動が促進された点が特筆されます。

ただ、こういった二次創作活動が盛り上がると、玉石混交状態になって、時には熱心なファンにとって受け入れ難いようなものも出てきがちです。
オリジナルコンテンツの世界観を壊さないよう、また著作者および関連団体の権利や利益を損なわないよう、どのあたりで規制の線引きをするかが悩ましいところですが、「初音ミク」のケースでは、キャラクターを作ったクリプトン・フューチャー・メディア自身が、一般のユーザーやファンが著作権を気にせず安心して投稿できる場として「ピアプロ」を用意した点が画期的です。

こちらのサイトを通じて、3/21開幕のSUPER GT用マシン(チーム公式サイト広報ブログ)の痛車(いたしゃ:3/15に富士スピードウエイで150台が集結しました)のデザインとピットウォークで流す曲の募集・発表や、CVシリーズ第2弾「鈴音リン・レンミニ四駆車体デザイン&テーマソング募集・発表、2009年7月発売予定のPSPゲーム「初音ミク-Project DIVA-」でのコスチュームデザインやイラスト、楽曲を募集するなど、一般ユーザー・ファンを巻き込んだ創作活動やプロモーションを多数実施しており、消費者との協働によるコンテンツ開発の実験場になっています。
ユーザー同士のコラボレーションも自発的に発生中だそうで、従来のライセンスビジネスモデルの枠を超えてオープンソースソフト的に増殖し続けている点が興味深いです。

今年になってからも、1月にはCVシリーズ第3弾として日英バイリンガル対応「巡音ルカが発売、3月にはCDのsupercell feat.初音ミク「supercell」初日で2万枚売れるなど、話題が続いています。

また、2008年2月に初音ミクの歌で「ニコニコ動画」にアップしたことで人気に火がつき、今年の卒業式ソングとして全国100校以上の中学・高校からオファーが殺到したabsorb「桜ノ雨」など、ミュージシャンがブレイクするきっかけとなるケースも出てきています。

これら一連のムーブメントは、男女問わず中学生~20代を中心に巻き起こっているため、筆者も含めた年代にとってはあまり実感できないことかもしれませんが、今後のキャラクター・コンテンツの開発・展開のあり方や、WEB・特に動画投稿サイトによる情報伝播など、様々な今日的視点で捉えられる現象です。
初音ミクニュースに日々大量の事例や紹介記事が紹介されていますので、ご興味をお持ちの方はご覧下さい。

今回は以上です。ではまた。

最終更新時間 2009年03月17日 17:25

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>これまでにも、CGでバーチャルアイドルを作り、声優や歌手の声に乗ってネットやゲームで歌い踊るコンセプトのキャラクターは多数開発されており、古くは「伊達杏子」や「ピンクレディーX」が、最近ではアーケードゲームから始まった「THE IDOLM@STER(アイドルマスター)」や「オシャレ魔女 ラブ and ベリー」(こちらは女児向けですね)が話題になりました。
これらと「初音ミク」との決定的な違いは、ユーザー参加の自由度とインタラクティブ性によるCGMなどの広がりがあったか否かではないかと思います。初音ミク」をネタにしたあらゆる二次創作活動が一気に活発化し、ニコニコ動画(41,339件;3/17現在)やYouTube(18,900件;同)などの動画投稿サイトを通してWEB上で多数発表され続けています。

ニコニコ動画でアイドルマスタータグを検索すると6万以上の動画がHITするのですが、なぜ無視するのでしょうか?
TV出演シーンと楽曲(公式・非公式を問わず)を組み合わせたダンスPVの出現と2007年夏の流行、その後の架空戦記やノベマス等の存在は、二次創作ではないのでしょうか?

投稿者 ニコニコ動画まとめwikiから : 2009年03月23日 17:29

ご指摘ありがとうございます。

今回のケースでご紹介したかったのは、アイドルマスターの是非でなく、「初音ミク」がメーカー公認の場を用意されてオープンソース的に二次創作作品が多数出てきていること、DTMとしても、これを足掛かりにメジャーデビューしている人達がいることなどの興味深い現象についてです。

アイドルマスターがゲーム市場で著名な存在で、多数のファンが存在し、多くの二次創作作品があることは存じています。それらの動きを含め、魅力があるコンテンツであることも理解しています。
熱心な友人にすすめられてゲームを試したこともありますし。。。
もしも気に障った点があるようであれば、あらためてお詫びします。

あと、ニコニコ動画でそこまでの動画があることなど、こちらの不勉強だった点を教えていただいて感謝します。

それでは、今後ともなにとぞよろしくお願いします。

投稿者 野澤 : 2009年03月23日 18:12

お返事ありがとうございます。
話の主眼が、二次創作の有無と量では無く、メーカー公認の二次創作発表の場が用意されている事&クリエーターのプロ化の流れだったわけですね。
理解しました。
つい熱く語ってしまい、言葉がきつく感じられてしまったかもしれません。失礼しました。

投稿者 ニコニコ動画まとめwikiから : 2009年03月23日 21:26

返信ありがとうございます。ご理解いただけたようでよかったです。
なにぶん自分の書き方が言葉足らずで、誤解を招くような表現であったことが発端ですし、今後は気を配らねば、と思っております。
それでは、今後ともなにとぞよろしくお願いいたします。

投稿者 野澤 : 2009年03月23日 23:06

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