新生銀行、自社のビジネス手法をCreative Commonsライセンス下で公開
日本の大いなる成功例の一つである新生銀行は、旧い伝統を持つ日本の会社が、適切な経営と手法をもってして、いかに生まれ変わることができるかを表す好例とされている。ここでいう『手法』には、僕の尊敬するJay Dvivediによる『シンプル化に向けた大幅な改革』を含んでいる。Jayは自身のITに対するアプローチ、すなわち、多くはインターネットを利用し、一部マーケットにあるものを使用し、複雑なものは細分化していくという方法を用いた手法を提唱している。僕もJayの先見に与るべく何人かの友人を彼のところに行かせたりしているんだけど、それは従来の手法とあまりに異なるため、その手法が実際に機能するということを理解、確信するには会議室でのミーティングだけでは足りないことが多い。
我々はこれまでこれらのアイデアを共有する方法をいろいろと話し合ってきた。Virginia A. FullerとDavid UptonによるレビューがHarvard Business Review誌に掲載された。もちろんこれはこれで素晴らしいことなんだけど、残念なことに、それはHBRを読める読者にしか届かない。
そこで我々が思いついたのが、Creative Commonsライセンスの下で手法を公表し、大学機関がそれらの手法を元に公開の教育ソフトを開発するように協力するというアイデアだ。Jayと僕とで新生銀行の社長であるThierry Porte(ティエリー・ポルテ)氏に会いに行った。彼はこのアイデアを気に入り、事を進めるように言ってくれた(YouTubeに投稿した、Thierry Porteと僕が話している動画)。今週、Indian Institute of Technology Kanpurが、新生銀行の協力の下で新生銀行の手法に基づく教育ソフトを開発してCreative Commonsライセンス下で公開すると発表した。
現在、他の大学にも働きかけているところだ。
企業にビジネスプラクティスや手法を教育ソフトの形で共有させるというこのアイデアは、万人にとって得るものが多いと考えている。すなわち、企業はその分野における専門家としての立場を確立できることになり、外部の人々はその手法を評価したり改善したりして貢献することが許され、ユニバーサルな改善・更新が常時迅速になされることになる。また直接的なフィードバック、およびそれを受けた素早い対応も可能になる。ビジネススクールや学術的な鍛錬の場は今後も存続されるものと思うけど、単なるケース分析よりも、教育ソフトの開発を協力して進めた方が、インターネット的な、「大まかなコンセンサス/運営の不文律」的な自然なやりとりは生じやすくなるはずだ。
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DAEMON

数週間前にStewart BrandからあるEメールが来た。僕がまだWorld of Warcraftをプレイしているか、そして小説「DAEMON」は読んだかを尋ねる内容だった。僕はWorld of Warcraftはまだやっていたものの「DAEMON」は読んでいなかった。けれども、アマゾンのおかげで数日後にはもう読んでいた。
何年も前に、MUD(マルチ・ユーザー・ダンジョン)と、それが現実世界の人々に対して与える強い影響力について考えていたことを思い出した。 MUDは最初のMMORPG(多人数参加型のオンラインのロール・プレイング・ゲーム)で、僕はそれにハマッている人を何人か知っていた。そして、僕もハマッた。(僕の名前がWiredに初めて登場したのも、1993年にHoward RheingoldがKevin Kellyと書いたMUDに関する記事で、僕の熱中ぶりに言及した時だったと思う。)人々はMUDの世界で結婚したり、離婚したり、仕事をクビになったり、アイディアを共有しあったりしていた。僕がプレイしたいくつかのMUDは、ゲーム内で出会う人々を介して、現実世界とつながっていた。
MUDというものはWorld of WarcraftよりもSecond Lifeに近く、プレイヤーは部屋やモンスターやオブジェクトを作り出すことができた。MUDに参加するということは、そのゲームをプレイしている人々の知性の凝集体に足を踏み入れるようなものだった。そこには参加者各自が現実世界の知識を駆使して作り出すクエストがあった。そうした彼らの世界でプレイすることは、彼らの脳内を歩きまわるようなものだった。いろいろなところから来た人々が、多種多様なテーマと目的を掲げたMUDを共作していく中で、これらの世界は融合しあい、衝突しあっていた。
MUDはその後MMORPGの進化経路上のどこかの時点で分岐し、オブジェクトや世界を創出することを好む人はほとんど、ゲームも作り出すことはできるものの主には世界の創出がその活動となるSecond Lifeのような場に移っていった。これに対して、いわゆるゲーマー層は、ゲームのプレイ面が高度に洗練される一方でプレイヤーによるコンテンツ作成がまったくできないWorld of Warcraftのようなゲームに移行した。(後者の開発陣は元熱狂的MUDプレイヤーだらけだったりするけれど。)
僕は今よりもMUDを活発にプレイしたり解析したりしていた頃に、次のようなイメージを抱いていた―。MUDの世界をちょいと裏返し、自分自身がそのMUDだと想像してみると、ゲームのプレイヤーたちは現実世界における自分の手駒やインターフェースのようなものにあたる。彼らはコンテンツを入力し、世界を創出し、現実世界を自分に教えてくれる。そして自分のことを友人たちに宣伝してくれる。彼らがゲームの経験値を稼ぐことに熱中し、よりのめり込んでくれることで、彼らは自分に糧となるものを提供し続け、生かし続けてくれる。彼らは彼ら自身ののめり込み先として、あるいはこれまでの投資を無駄にしないようにするために、サーバーを用意したり使用料を払ってくれたりもする。そしてMUDである自分が爆発的な人気を得ることができれば、プレイヤーの中には自分のDNAコードを使った新しいMUDを派生させる者が出てくる。自分の複製ともいえる存在が誕生するわけだ。
コアなプレイヤーたちはオープンソースである自分のソースコードを解析して、進化させ続けてくれる。コードの魔術師たちが自分のコードを使った個々のMUDを教育し、それぞれに個性を持たせてくれる。そしてそれをプレイするプレイヤーたちが、現実世界における自分の存在証明になるのだ。
ゲーマー層のほとんどが、企業の管理下にある開発チームによってデザインされたクローズドソースのゲームに移行した時、僕はこのような夢を見るのをやめてしまった。このように進化するだろうと僕が想像していた「生きた」状態ではなくなってしまったからだ。
ところが「DAEMON」を読んだことで、その夢が舞い戻ってきた。著者Leinad Zeraus氏の描く物語では天才MMOデザイナーの死後、彼の作り出した巨大なコンピュータデーモンが世界を乗っ取っていくことになる。これはいろいろな意味で僕が想像していた構図に似ているけれど、著者は恐ろしげなひねりを加えたうえで、スケールを遥かに遥かに大きなものにしている。これだけ感銘を受けた本は久しぶりに読んだ気がする。著者は「Fortune 100社と取引のある独立系システムコンサルタントで、防衛、金融、エンターテイメントの各業界向けの企業用ソフトウェアのデザイン実績をもつ」そうだ。その経験を活かして著作に抜群のリアル感と説得力を持たせつつ、なおかつ強烈なインパクトを与えてくれる。
読んでいて非常に楽しめた本なので、ネットやゲームが好きな人なら誰にでもオススメしたい。でもって、それらが好きじゃない人たちにもオススメしたい。これを読めば、こういったことのすべてを理解しておくことが重要であるということがわかる。手遅れになる前にね。
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Creative Commonsが新体制と新たな資金調達を発表
以下は正式発表されたばかりの内容だ。
Creative Commonsが新体制および新たな出資内容を発表2008年4月1日、米国カリフォルニア州サンフランシスコ
一般の方々が合法的に共有し、使用できる創作物の範囲拡大を目的とする非営利団体「Creative Commons」は本日、体制の変更、およびWilliam and Flora Hewlett Foundationから活動資金400万ドルの出資を受けたことを発表した。同団体の創始者であるスタンフォード大学法学部教授のLawrence Lessigは「本日の2つの発表はいずれも、Creative Commonsが発足段階を脱し、デジタル時代における創作・教育・研究のための重要な支持基盤に発展したことを反映したものです」と語った。 Creative Commonsは昨年12月に創設5周年を祝っている。
Lessigは自らの学術的な焦点が著作権問題から政治腐敗へと移行したこと表明をしており、米国政府の立法部門の透明性向上を目指す運動「Change Congress」を最近発足させている。Lessigはそちらの活動に集中するためにCreative CommonsのCEOを辞任し、起業家・投資家でありfree cultureの提唱者であるJoi Itoが後任となる。Lessigは理事の一員としてCreative Commonsに残る。
「焦点は移行したものの、私のCreative Commonsおよびfree cultureという大義に対する支持は変わりません」とLessigは語った。「Change Congressでこれからやっていくことは色々な意味でCreative Commonsの活動を補足するものなのです。どちらのプロジェクトも人々に力を与えて、より適切なシステムを構築できるようにしようと目指すものです。 Creative Commonsのリーダーシップを、類い稀な情熱と資質をもつJoi Itoに引き継ぐことができるのは何よりもの喜びです。」
「Larryの管理下にて、Creative Commonsははじめの着想段階から、80を超える国の組織や人々に関わる技術的・社会的・法的環境の不可欠な一要素へと成長しました」とItoは語った。「それに伴い、組織の規模・複雑度が増してきています。私はさらに関わりを深め、この素晴らしい一団の舵取りをできることを喜ばしく思っています。 Hewlett Foundationは当初から我々を強固に支援してくれています。将来的にも彼らの援助が得られるということは、我々にとって何よりもありがたいことなのです。」
創設時から理事を務めてきたデューク大学法学部教授のJames BoyleがItoに代わり理事長に就任し、Itoは理事として続投する。「JamesはCreative Commonsの創設時から尽力し続けてきてくれました」とLessigは語った。「彼は、我々の科学研究部門であるScience Commonsと、教育部門ccLearnの設立を指揮してくれました。Creative Commonsの理事長を務めるのに彼以上にふさわしい人物はいないでしょう。」
BoyleはCreative Commonsの未来について楽観的だ。「MITのオープンコースウェア、Public Library of Science、素敵な音楽、多数の写真やブログ、無料公開の教本など、我々のライセンス下に入っている数々の素晴らしいものを目にすれば、我々が Larryのリーダーシップのもとで実際に、世界中の何百万という人々がクリエイターやユーザーとして参加する万国共通の『創造的な共有の場』を形成する一助となったことが実感できるでしょう。私の仕事は当団体の理事会に名を連ねる傑出した人々の能力を活かし、このミッションを継続・発展させていくことです。(某Larry Lessigなる者もこれに含まれます。当面はどこにもいかないと約束してくれました)」
Hewlett Foundationからの出資は、5年間に渡ってCreative Commonsの活動全般を援助するための250万ドルと、公開教育リソースに焦点を当てたCreative Commonsの一部門であるccLearnを支援するための150万ドルからなる。「William and Flora Hewlett Foundationは情報の開放、とりわけ教育リソースの無料での開放を強く支持し続けてきました」とHewlett Foundationの公開教育リソース・イニシアチブの部長であるCatherine Casserlyは語った。「Creative Commonsのライセンスは、Creative Commonsにおける取り組みが拠って立つ開放のインフラの非常に重要な部分です。」Hewlett Foundationからの出資は、Omidyar Network、Google、Mozilla、Red Hat、およびCreative Commonsの理事会からの支持も見込んだ5年間に渡る出資プランの根幹を成すものであった。
Creative Commonsはまた、上級幹部の人事異動二件を発表した。Diane Petersが相談役として就任する。PetersはMozilla Corporationの出身で、Software Freedom Law Centerの理事を務めており、かつてはOpen Source Development LabsおよびLinux Foundationの相談役も務めている。様々な案件について、非営利団体・開発コミュニティ・ハイテク企業への助言や提携に関する豊富な実績をもっている。
Cravath, Swaine & Moore LLPから昨年Creative Commonsに加わった副会長兼相談役のVirginia Rutledgeが、副会長兼特別相談役として新しい責務を負うことになる。Rutledgeは新たな役割として開発および渉外に焦点を当てつつ、今後も特殊な法的プロジェクトの指揮も執り続けていく。
Creative CommonsについてCreative Commonsは2001年に創設され、私有・公有を問わず、知的および芸術的創作物の創造的な再使用を推進している非営利団体です。Creative Commonsは著作権フリーのライセンスにより、「無断転載禁止」を旨とする従来の著作権を基盤にしつつ、任意による「限定的な使用許可」を可能にする柔軟な権利保護および使用許可事項を、作家・芸術家・科学者・教育者に選択肢として提供しています。Creative CommonsはCenter for the Public Domain、Omidyar Network、ロックフェラー財団、John D. and Catherine T. MacArthur Foundation、およびWilliam and Flora Hewlett Foundationを含む多数の組織、および一般の方々の寛大なる支援によって創設され、運営されています。Creative Commonsに関する詳細は http://creativecommons.org でご確認いただけます。
問い合わせ先Eric Steuer
Creative Commonsクリエイティブディレクター
Eメール: eric(アットマーク)creativecommons(ドット)org
プレスキット
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Ad-Butterfly について

2004年、John Battelleが、セル・サイド・アドバタイジング(販売側発信広告)のアイデアを自身のブログに書いた。僕もまた、いいアイデアだと思ったので自分のブログでそれについて書いた。それは、広告主が広告の掲載者を選ぶのではなく、掲載者のほうが自分のウェブサイトで表示する広告を選択するというアイデアだった。それ後、その種のものを作り出そうと試みている人も何人かいるようだけれども、この形態を実現してうまくいっている例を僕は見ていない。(もしそのような成功例をご存知ならぜひ教えてほしい!)
我々(デジタルガレージ)は2006年、株式会社CGMマーケティングを設立した。CGMマーケティングは株式会社テクノラティジャパンと協力し、広告主へのユーザー生成コンテンツ上での広告発信についての説明と、テクノラティおよび他のユーザー生成メディアサイトの広告代理店業務を行うことを目的とする。
同年のうちに僕は、CGMマーケティング、デジタルガレージ、Reid Hoffmaと、アド・マーケットプレイスのEtology社に投資した。当時、CGMマーケティングとテクノラティジャパン、デジタルガレージの担当チーム、そして僕は、ブログ広告ネットワークがどのような形態になるかについてブレインストーミングしていたんだけど、そのときの販売側発信広告に関するディスカッションで出てきた考えをいくらか思い出した。
我々はこの販売側発信広告に関する話し合いにヒントを得、昨年9月、「アドバタフライ」を立ち上げた。6ヶ月後の今、我々のスクリーニングに合格した約5,500人のブロガーが登録されており、3,700人程が実際に広告を運用している。また、この数字は伸び続けている。そしてこれらのブログが、毎月約1億のインプレッションを叩き出している。現在はまだ枠が完売していないので自社広告をいくつか出しているけれど、大まかな予想によると、在庫分の枠が完売すると、インプレッション数が同じなら、運営しているブログの種類によってはAd Senseよりも我々のサービスの方が実入りがよくなるはずだ。事業規模的に見て、より多くの広告主を獲得するためのマジックナンバーは、ブログが10,000本、インプレッション数が2億だろうと考えている。その数字は早晩達成できる見通しだ。
サービスの仕組みはこうだ。
ブロガーはAd-Butterflyのサービスに登録し、自身のブログにAd-Butterflyのバッジを掲示する。一方の広告主は、自分の広告を掲載したいと思うブログを探して、そのサイトでの広告提示をリクエストする。広告についてコメントできる「評価スペース」が設けられており、広告主はオプションでブロガーに対してその使用を認めることができ、ブロガーもそれを使用するかどうか選択できる。
実際にシステムをテストして、ブロガー、広告主、ブログ読者の意見を聞いた結果、「信用」という点では、このシステムは相互にメリットがあることがわかった。ブロガーたちは広告を掲載するかどうか自分で選択できるという点を評価している。広告主は、有料のその広告スペースが自分たちを気に入っているブロガーのページ上にあるということを評価している。ブログの読者は、広告がブログの内容に関連があるか、あるいは少なくとも、何らかの形でブロガーが支持した広告であるという点を評価しており、そうでない広告の場合と比べると、より広告の内容を信用したり、よりクリックしたりすると述べている。
こういったことから、我々はNEC、東芝、NIKE、BMW、サントリー、ソフトバンクといった有名大手をクライアントとして獲得できており、これらのクライアントは少なくとも現時点では、従来のネットワークもしくはマシン対象のプレースメント方式の広告よりも、「友好的ネットワーク」型とでもいうべきこのプレースメント方式の広告のほうに割増のレートを払ってもよいという意向があるようだ。
まだ我々は、ネットワークを拡大中であり、また、ブロガー、広告主、ブログ読者にとってより使いやすく、より魅力的なサービスになるように機能を追加している最中ではあるけれども、まずは出だしは順調に行っていると思う。現在開発中の新機能についても、近いうちにここに書こうと思う。
そんな流れがあって、腰を下ろして「Ad Senseの次は何がくるのか」と考えたとき、このサービスが答えの一つになりそうな気がするわけだ。
この件についてブログに書くように勧めてくれたMartinに感謝したい。 ;-)










