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2005/06/21

「守ること」の意味

今回は直接英語には関係のない内容です。


仕事って、皆それぞれ「もっとお給料が欲しい」「やりがいが」などと目的を求めてやっているものかと思います。その中の大きな一つに「社会的な意義」を求めるということもあるのではないかと思うんですが。


私も、自分で、勝手に、ではありますが、『English Zone』を出すことによって、読んでくださった方がこれまでに知らなかった国について造詣を深めてくださったり、そういったことが増えることによって巷にまだあるような人種間の偏見や差別が少しずつなくなっていったりするといいなあなんて考えていたりします。大げさな、と言われるかもしれませんが、やっぱりそういう目標があると頑張り具合も違うってなもんです。


相変わらず前置きが長くなってしまったのですが、私の友人でジャンルが少し似ている仕事をしている女性がいまして、仮に名前をMさんとします。Mさんは30代後半で一人の子持ち、最近息子が通い始めた小学校のPTA役員を始めたばかりです。これまでに経験のない新しいことばかりで四苦八苦しながらも、忙しいスケジュールの間を縫ってPTAのミーティングに参加していたある日のこと、こんな提案が出たそうです。


「学区内にホームレスの人たちを更正させる施設を建てる予定がある。これに関して反対署名を集めたいと思います」


小さい子どもたちの親であるほかのPTA役員たちは異論もない様子。Mさんが驚いたことには、建設反対を大前提に話し合いが進められたことだけではなく、「PTAとして反対署名をしたいが、そうなるとうちの小学生たちが狙われる。だから、直接署名をしないで、町内会が署名をする場合に個々に署名するなどするしかないだろう」という結論が出されたことでした。もちろん、Mさんの息子も小学校に上がったばかりの6歳、確かに身元の知れない人たちがすぐそばにいるというのが気にならないと思ったら嘘になります。


でも。


Mさんには、これまでの仕事やプライベートの活動を通して、何人ものホームレスの友人がいました。さまざまな理由で職を失った人たち。息子を彼らに会わせたこともあり、時には息子と遊んでもらったりもしました。「お母さん、どうしてあのおじさんたちは公園にいるの?」そんな問いに彼女は、丁寧に答えていました。「あのおじさんはね、あっちのおじさんはね・・・」。これも社会の一部なんだよ、と。


「どうしたらいいのかわからなくてね。社会は彼らの受け皿を作らないといけない場所でもあると思うし、でも、子どもの親としては気持ちもわかるし・・・」


難しい問題だなあと頷きながら、私はアメリカで見たある光景を思い出していました。私が2年ほど住んでいたボストンはご存知のとおり結構都会で、街角にホームレスのおじさんがお金をもらうためにカップを持って立ってたりします。日本人の私はその横をすっと通り過ぎることが多いんですが、アメリカ人の友人といると、そのほとんどが小銭をカップの中に入れるんですね。わざわざ近寄っていって入れる人も少なくありませんでした。そして “Thank you. Have a nice day.” と声をかけるおじさん。不思議そうな私の顔を不思議そうに見ていた友人たち。確かにあの人たちは社会の中にすんなり溶け込んでいたなあ。


しかし国が違えばホームレスになる理由ももちろん違うし、同じことが起きればいい、悪いとは言えませんね、受け入れ態勢も環境も文化も違うし。ただ、何らかの形で彼らの手を完全に離すことなく共存する方法はないものか・・・明確な答えはありませんし、私がMさんの立場ならやはり悩み続けるでしょう。


色々と考えさせられた一件でした。

最終更新時間 19:03 | コメント (2) | トラックバック

2005/06/16

心に残る英語名言

先週は『English Zone』16号の取材で、劇作家・演出家の鴻上尚史さんにお会いしてきました。

鴻上さんといえば、イギリスの演劇学校に留学し若い学生たちと一緒に演劇を学び現在も第三舞台の演出家として広く名前を知られた方です。

当日は、文化放送内の会議室にて留学時代のお話から日本の子どもたちに対する教育についてなど、広くお話を伺いました。私は取材の際、英語を勉強されている方にはいつも「何か好きな英語の言葉ってありますか?」と聞くのですが、鴻上さんは「イギリスでワークショップの際に、先生がよく “Give me a beat.”って言うんですよね。単調に抑揚のない状態で演技していると、もっとテンポ良くしてくれ、って。その言葉が印象的でしたね、『君のビートを俺にくれ』かぁ・・・と」とお答えくださいました。

好きな英語の言葉って皆さんそれぞれ違うと思うのですが、私はそのフレーズが持つ意味自体のみではなくて、英語の妙が旨く使われていると「ああ、英語って素晴らしい・・・」と目にハートが浮かびます。まさに英語オタク(というほどのこともないでしょうが(笑))。

『English Zone』では毎号表2(表紙の裏のページ)に、特集テーマに沿った英語名言を入れるようにしています。実はこれ私が担当してまして、毎号「いいquotesはないかなあ」と探すのをとても楽しみにしてたりします。このスペースにはテーマによっては日本語を入れることもあるのですが、英語で掲載したものをいくつか抜粋してみました。

第2号 特集「恋愛&SEX」

It is not how much we do,
But how much love we put in the doing.
It is not how much we give,
but how much love we put in the giving.

(マザー・テレサの言葉)

第4号 特集「心理学」

Work like you don’t need money.
Love like you’ve never been hurt.
Dance like nobody’s watching.

(史上最速のピッチャーと呼ばれたサッチェル・ペイジの言葉)

第5号 特集「スポーツ」

Champions aren’t made in gyms.
Champions are made from something they have deep inside them:
A desire, a dream, a vision.
They have to have last-minute stamina, they have to be a little faster,
They have to have the skill and the will.
But the will must be stronger than the skill.

(モハメド・アリの言葉)

第8号 特集「世界を目指す」

Boys, be ambitious,
not for money, not for selfish accomplishment,
not for that evanescent thing which men call fame.
Be ambitious
For attainment of all that a man ought to be.

(ウィリアム・S・クラーク博士の言葉)

第9号 特集「仕事」

The only place where success comes before work
is in a dictionary.

(ヴィダル・サスーンの言葉)

第10号 特集「旅」

Twenty years from now
you will be more disappointed by the things
that you didn’t do than by the ones you did do.
So throw off the bowlines.
Sail away from the safe harbor.
Catch the trade winds in your sails.
Explore. Dream. Discover.

(マーク・トゥワインの言葉)

第11号 特集「サイエンス」

The whole of science is nothing more than
a refinement of everyday thinking.

(アルバート・アインシュタインの言葉)

第12号 特集「アメリカ」

America will never be destroyed from the outside.
If we falter and lose our freedoms, it will be because
we destroyed ourselves.

(アブラハム・リンカーンの言葉)

第14号 特集「キャリア」

Far and away the best prize that life has to offer
is the chance to work hard at work worth doing.

(セオドア・ルーズベルトの言葉)


いかがでしょうか。

「名言」としてその話した言葉が残される人たちは、皆独自の哲学を持っていて、だからこそ含蓄のあることを言うことが出来たのだと思いますが、哲学を持っている人というのは同時に無駄なく話すものなのだなあと思います。自分の中に美意識がちゃんとあるんでしょうね。いつか私もこんな風に話せるように・・・うう、難しそう。

最終更新時間 16:30 | コメント (2) | トラックバック

2005/06/14

表現がわからないときは、Google

「~って英語でどう言うんだろう?」

そんなとき、ネット上の翻訳サービスサイトに行くという方は少なくないかと思います。
今では大概の表現にあてはまる英語フレーズが紹介されていたりして、それをスペース空けていたところにパコッとはめこんで文章出来上がり・・・でも残念ながら、「その表現はその文章の前後には合わない」「そもそも自然な言い回しではない」という結果になってしまいがち・・・しかも恐ろしいことに自分にはそのことがわからないままで・・・こんな状況が多いような気がします。

数年前に比べるとネット上の翻訳サービスも随分優秀になってすごいなあと思うのですが、やっぱり万能ではないのが悲しいところ。そして、私や編集部のスタッフもちょくちょく覗いたりしているのですが、「こんな言い方しないよね・・・?」という表現も沢山。

そういうときは、翻訳サービスサイトを利用して、候補をしぼりこみそれを quotation mark(" ")で囲ってGoogle(もちろん「Web全体から検索」を使って)、という方法を取っています。出てきた件数があまりにも少ないようなら考え直します。

たとえば簡単な例で、「『問題について議論する』は、debate about the issues、それとも debate the issues?」などと思ったときに両方を" "で囲んで検索。

debate about the issues: 9,170 件
debate the issues: 77,300 件

そして「うん、どうやら debate the issues のほうが一般的だね」という答えにたどり着くわけです。

これはうちのネイティブスタッフも活用している方法で、時には1文全体、また時には前後の部分とわからないフレーズ部分をいくつか入れて検索をかけて、結果の件数で「お、こちらのほうが自然に使われているんだな」と確認。特に自然な会話で使われるような口語表現を探すとき、クールな言い回しのタイトルを決めたいときなど、効果的です。インターネットは、少し前に出版された英英辞典よりも現在に近い表現の宝庫だったりしますから。

また、その検索結果の前後を見て、「なるほど、こういう場合のときにこのフレーズが使われるのか」と勉強にもなったりします。ある程度の文法知識がないと入れるフレーズを間違えてしまったりもしますが、色々試してみるのも勉強になるのではないかと思います。また、中級くらいの英語力の方が自分の英語をさらに正確に、現代のものに近づけたいとお望みであれば、一度試してみてはどうでしょうか。

最終更新時間 13:22 | コメント (5) | トラックバック

2005/06/03

母国語と外国語 6


「母国語と外国語」第6回です。
この話には色々とリアクション頂いていて、嬉しい限りです。てっきりもっとマイナーな話題かと思っていたので(笑)。ありがとうございます。もう少しお付き合いください。


さて、前回Aちゃんのエッセーを掲載した後に、「次回は反対に両親の海外赴任により外国での生活を同じく経験した中で、比較的うまく両方の言語を習得する「日本人」となり得た人に話を伺いたいと思います」と書きましたが、何を隠そうその人とはうちの編集部スタッフのことです。


彼女は私の前職時代から一緒に働いている仲間なのですが、Aちゃんが来た際のアルバイト募集に応募してきたとき、大学4年生でした。履歴書には「TOEIC990点」の文字。周りに「TOEICって満点何点だっけ?」と聞く私、「990点じゃないですか?満点ですねこの人」とう答え。へえー!と驚き、早速会ってみたところ、「小さい頃カナダに住んでました」と言うのです。「あー、またAちゃんのパターンだったりして」などと思いつつ、同じ試験(和文英訳・英文和訳)を受けてもらったところ、日本語英語ともにずば抜けていて、採用に至ったのでした。


以来約5年ほど一緒に仕事をしてきてまして、当時アルバイトさんだった彼女も今では立派に編集部で中枢を担い、バリバリといい仕事をしてきてくれています。うちのスタッフの話なので、手前味噌になるようで恐縮なんですが、私の目にもほぼ完璧に近いバイリンガルに見える彼女に、今回話を聞いてみることにしました。まずはカナダ滞在時代(小学校)どのようなことをしていたのか、特にご両親が気を使って何か特別なことをしていたのか、ということについてです。


以下、会話調になりますがご覧ください。


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私:カナダにいる間、ご両親が何か気を使ってやってたことってある?

彼女:向こうでは、うーん、むしろ日本語を忘れないようにということでしょうか。子供ってすぐ適応するので、兄弟間はあっという間に英語になっちゃうんですよね。それを親とは絶対日本語というのを崩さなかったり(そうなると親はすぐに適応しないからしようと思ってもできないと思いますが・・・笑)、補習校に行ったり。あと通信教育もやってましたが途中であまりにサボるので解約されたような(笑)。

私:補習校って?

彼女:土曜日だけ行く学校です。日本人学校というと全日制のもので、日本から先生が派遣されてくるらしいのですが、補習校は日本政府から補助は出てますが、基本的に現地運営みたいな感じです。

私:そこではどういうことをするの?

彼女:所詮、日本の学校の子供が6日かけてやることを1日でやるのは無理なので、国語、算数、理科、社会しかなくて、特に国・算がメインです。あとは宿題が毎週たっぷり。毎日日記を書けとか。理社は実験ができる設備もないし、社会はカナダに住んで日本の地理とかやっても全然ぴんとこなくて面白くないので、みんなモチベーションは低かったですねー。かなりおろそかになってました。あと補習校でも一番仲良かった子とは休み時間とか英語になってました。

私:でも普段の学校は英語、家庭は日本語で、頭の中が混乱することはないの?実際に「identity crisis」に苦しんでる人たちと違うのはどういう部分なんだろう?

彼女:日本の学校に帰ってきたときに、友達と話していると気を抜くと英語が出そうになって自分でも驚いたこととかはありますが、identityとしては完全に日本だったことでしょうか。カナダ生まれでもないし、日本に帰ることもわかってたし。英語ができない相手(補習校でもフランス語の現地校に通ってた子は日・仏しかできないので)には日本語で話してましたし、混乱って感じではなかったですね。

彼女:ただ、そういえば親の努力といえば、宿題とかはかなり一緒に見てもらってましたね。一番苦労したのは、難しい単語があって辞書を引いても、その日本語の漢字が読めない+意味が分からないことです。かといってジュニア版英和辞典とかには難しい単語は載ってないし。たとえば、rejectという単語があって、辞書を引いて「拒否」って載っていても「きょひ」と読めないからまず漢和辞典を引けと言われ、やっと読み方が分かったら今度は国語辞典を引けと言われ、そこに書いてある意味とかもよく分からなかったりして。もう何が何だか、やってるうちに恐ろしくやる気をそがれて苦痛でした(笑)。


私:
なるほど(笑)。でもそれを「やれ」とご両親が言ったのね?

彼女:一緒に見ていたのは主に母ですね。自分で調べる習慣をつけろ、みたいな感じで。というか、母も説明してくれるのですが、口頭で日本語で説明されても分からないんですよね・・・。「拒否」はわりと分かりやすいですが、例えば「主観的」とかそういう概念的なことって定義から入るのはとても難しい・・・。多分そういう語彙を増やすのって、ひたすらいろんなものを読んで、使われてる中から吸収するしかないんでしょうね。・・・とEZのコンセプトに話がつながりました(笑)。

私:えらい!(笑)

彼女:でもそれは本当に体感してるのでよく分かるんです。日本語で訳してあって、その定義は理解できたとしても、どう使われてるかを知るにはひたすら量をこなすしかない、と。

私:なるほど。じゃ海外にいても日本語ネイティブであろうとするためにはそのプロセスで手は抜けないってことだね。

彼女:そうですねー、読書は本当に大事だと思います。私もそれでも補習校に小さな図書室があって、毎週5冊だか10冊まで借りてよかったのですが、毎週フルに借りて読みきってました。なんか日本語に飢えるというのもあるかもしれませんが。同じく親の仕事の都合で海外にいた友人も、補習校にも行ってないわりには日本語がうまいのですが、家中の日本語のものを片っ端から読んだといってました。

私:なるほど、大事なのはいる場所じゃなくて、何をするか、そしてどの方法を取るかということなのかもしれないね。

彼女:そうですねー。私たちの読書に関しては、努力というか、そうしたかったので勝手にそうしてただけですが。やっぱりなんだかんだいっても日本語の方が得意だったからかもしれませんね。日本語の方が楽だったり。あとは希少だからとか(笑)。私は逆に(今でもわりとそうですが)日本に帰ってきてからは向こうの雑誌を定期購読したり、洋画を見たりしたくなったので。

私:珍しいから手に入れたいわけだ(笑)。

彼女:そうそう(笑)。情報っていっぱいありすぎるとどれも価値が薄まるというか、ちょっとしかないものだと、それだけ読めばいいので。

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話を聞いていると、「どの国の言葉・identityをメインに持つかをはっきりさせること」「言語習得のために本人に苦しませてもちゃんとしたプロセスをたどらせること」「興味を持って量を沢山吸収すること」などのポイントを彼女のご両親がきっちりと押さえていたのが見えてくるような気がします。


今回は日本語習得がメインの話になっていますが、次回は彼女から聞いた、「帰国後(今度は)培った英語力を保ったコツ」について掲載したいと思います。


(続きます)

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