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2005/05/27

テキトーな自分、そして英語

私の友人に、「英語は勉強したかったんだけど、難しくて・・・」とぼやいている30代前半の男性がいます。

「ほうほう、どういうところが難しかったの?単語を覚えること?」と聞いてみたところ、「納得が出来ないんだよ」という答えが返ってきました。

「納得? 何に」

「中学時代にさあ、はじめて英語に触れて色々単語を教わるじゃない。
んで、先生が『girl』は『ガール』(舌を巻きながら)って発音するんですよ、って言うんだけど、どうしてもなんでそう発音するのかわかんないんだよね。なんで『ギルル』じゃないんだよ!と」

「えー。そ、そんなこと思わなかったなあ・・・もうそれはそういう発音なんだな、ってインプットしたよ」

「先生に聞いてもなんかよくわかんない答えが返ってきてさー。もうそうなると1個1個の発音がどうして?なんで?と気になるわけよ。あそこが俺の英語学習における挫折点だったねー」

「・・・へえええええ」

この場面、どちらが頭が良いかというと間違いなく彼のほうだと思うんですが、結果としてみると「英語はわからん!」と触れるのを止めてしまったのも彼のほう。うーん、見たもの聞いたことを疑うという知的好奇心の強さゆえにチャンスを逃すとはなんともったいない。自分の適当な性格に珍しく感謝する気になりました。

そういえば、大学時代中学生を相手に英語の塾講師などをしていたとき、それはもう沢山の質問を生徒たちから浴びせられたものです。

「なんでIのあとはamなのに、Sheのあとにはisがつくの?」

「なんでcookの過去形はedをつけるだけなのに、haveの過去形はhadなの?」

「なんでWhatやHowで始まる疑問文の最後の?の発音は上げないの?」

日本語について外国人に同じようなことを聞かれてもきっと皆さんこう言いたくなると思うんですが、時折「なんで、って言うか、そういうもんなんだよ!」と叫びたくなる瞬間が。言語学や音声学を大学でチョロチョロとかじりはしましたが、それに基づいてひとつひとつを覚えているわけでもない自分。「疑問を持つのは素晴らしいことだ」という思いと「そこにこだわらずに先に進もうよ!」という気持ちのせめぎあい。

大人になればなったで賢くなった分だけ気になることが増えたりして、英語を勉強するにも昔よりも気になることやこだわりが増えてるのかもしれないなあ・・・と最近英語を学習中の友人と話したり弊誌読者の皆さんのお便りなどを見ていて思いました。

もしかしたら英語を楽しく勉強し続けるコツは、ときに「なんで?」と思い続ける自分を横においておくこと、「まあいっか、そういうもんなんだ」と無理矢理納得させちゃうことかもしれません。いつもそれだと適当すぎてダメかもしれませんが。

そしてこのコツは外国の人たちと話す際、異文化を理解する際にも使えるかもしれませんね。「なんでそうなるの?」から始まる議論の時間と、「へーそうなんだ」と違いをそのまま受け入れて楽しむ時間、両方をバランス良く持ちたいものです。

最終更新時間 17:53 | コメント (4) | トラックバック

2005/05/23

英語でドラマを観よう!

自力で英語力を上げようとするとき、よりたくさんの単語やフレーズを覚える、そしてそれを自分の言葉として使えるようにするためには、何より英語に触れる頻度が重要ですが、頻度を高めようとすると苦しいだけでは続きません。TOEIC受験など具体的な目標が目の前にあればそれに向けて集中的に努力することはもちろんあるでしょうが、長い目で本当に使える英語を身につけるためにはまさに「継続は力なり」であることを覚えておかなくてはいけません。出来る限り「楽しみながら英語を吸収・使う機会を増やす」ことが英語力アップの鍵です。


少し前にも書きましたが、「楽しみながら英語力を上げる」ことのために洋画・洋楽・海外ドラマを観るという方法を取る人が多いようです。もちろん観たいものをどんどん観ていくのがいいと思うのですが、ビジネスパーソン、特に外資系に勤め始めた方や海外とやり取りを多くする方にお勧めしたいのがアメリカのテレビドラマ「ER」です。


言わずとしれたマイケル・クライトン脚本・総指揮の超有名シリーズで、本国では11年目を迎えたところ。シカゴの病院の緊急救命室を舞台に人名を救出する仕事を通して奥深い人間ドラマが繰り広げられます。強い個性を持つ各キャラクター、臨場感あふれるシーンの数々、日本のテレビドラマに慣れた目には時折シビア過ぎるようにさえ映るリアルなストーリー、などなど演出から台詞の1つ1つまで秀逸な出来栄えです。


特に参考になるのが、仕事場での政治的なやり取りのシーン。基本的に登場人物は皆仕事に燃えている医療のプロなのですが、どの業界でもそうであるように出世欲の強い者、現場にこだわる者、チームの和を大事にしようとする者など、さまざまなスタンスに立ってそれぞれの利を追求するために交渉・議論を重ねていきます。たくさんの人間が絡みあっているので、探せばきっと自分と同じような考えを持つ「仕事人」が見つかるのではないかと思いますので、その人たちがどのようなフレーズを用いて意見を言っているのか聞くと参考になるかと思います。また、全体のやり取りを見て、soft(物腰が柔らかい)と見られがちな日本人ビジネスパーソンがfirm(強くはっきりと・・・これは相手に適度な緊張感を与えるため必要とされることが多い態度です)に話したい場合に取る距離感の目安を掴むのも良いかと思います(ドラマなので少し派手に描かれてはいますが)。

"Can you help me with this?" (手を貸してくれませんか)などの簡単な表現から、"Do I need to remind you that I'm in charge here?"(ここは私が仕切っていることを忘れるな)などキツ目の表現まで、使えるセリフの宝庫のこのドラマ、ぜひ一度観てみてください。


・・・ちなみに、個人的にはこれまで観た海外ドラマの中で脚本(ストーリーというよりセリフ)が最高に素晴らしいと思った作品は「Sex and the City」なのですが、あんまり男性ビジネスパーソンにはお勧め出来ないかもしれません・・・英語の妙を知り尽くした言葉遊び・東海岸的ジョークが非常にクールで観ていてうっとりするのですが、女性キャラのあまりのオープンさにちょっと腰が引けてしまうかも。同性にとってはまたそれも面白いポイントなんですけどね。

最終更新時間 10:41 | コメント (4) | トラックバック

2005/05/16

新しい風

今日から我が編集部に初めてのインターンが入って来ました。

上智大学4年生のYさん、これまでもアメリカと日本の両方でいくつもインターンシップをこなして来たアクティブな女性です。『English Zone』の読者のひとりで「是非働かせて欲しい!」と熱烈なアプローチをしてきてくれた1人です。早速編集部全員でウェルカムランチに出かけてきたのですが、気づけば私、副編集長、そしてもう1人のスタッフの3人でスタートしたEZチームもYさんが加わり7人所帯に。全員一緒に座れるお店を探すのもひと苦労です。


日本では珍しい「英文誌」という媒体を編集する以上、当然ある程度以上の英語力が必要とされます。また、自然とそれぞれ何らかの海外生活経験を持っているスタッフが集まるようになり、ランチの場でも自己紹介を兼ねて「○○に~年行っていた」などという話に花が咲きました。具体的には、私を含めアメリカで大学・大学院などで勉強した者が3名、幼少の頃カナダにいた者が1名、イギリスの大学に学んだ者1名、アイルランドに滞在していた者が2名、カンボジアで働いていた者1名、アジア各国を放浪していた者1名。1人が数箇所経験していたりするので合計人数は7名ではないのですが、それぞれが旅行をした国も入れるとかなりの数の国に関わってきたことになります。


皆それぞれ自分がいた国・地域に思い入れがあるので、「私はアメリカよりやっぱりヨーロッパが・・・」「いや、東南アジアのあの熱気に勝るものはなかなか・・・」などと、自国でもない国の良さを競いあったりもしますが、それぞれの文化が「違うからこそ面白い」ことを分かっているので、最終的には健康的なargument(議論)になってる気がします。また、こうした環境があることは、制作の上でも非常に良いことだと思います。


とかく英語教材と言えば「アメリカ志向」、そうでなければイギリス、などとなりがちです。我々が作っている媒体も確かにアメリカ英語をベースに文章や発音を作り上げていますが、かといってインタビュー対象や取り上げるテーマも欧米に偏るべきかというと、決してそうは思いません。どんな英語も英語は英語、そして、英語を理解したいと努力する本来の目的が「自分の気持ちを相手に伝えること」をはじめとするコミュニケーションであるなら、是非日本を含めた世界中の話題に英語で触れてみてほしいと思います。使えるフレーズはありとあらゆるところに転がっているのはもちろんのこと、ただ英語を学ぶだけではもったいない、話す相手としての自分をより深めてくれる新しい世界がそこに必ずあるはずなので。

・・・なんてことを思いながら、Yさんを迎えた1日でした。


とはいえうちの編集部もまだまだ十分diversified(変化に富んでる)とは言えませんね・・・次はアフリカや南アメリカなどで暮らしてた人あたりも欲しいところです。

最終更新時間 16:58 | コメント (0) | トラックバック

2005/05/11

母国語と外国語 5

GW明けの今週、皆様バリバリとお仕事されておられることかと思います。

さて、前回の「母国語と外国語 4」で掲載したAちゃんのエッセーですが、内容理解はOKでしたでしょうか? 答え、というわけではありませんが、「細かいところまで分かりたいのに分からなかった」という方のために今回は同エッセーの和訳を掲載いたします。

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タイトル:『アイデンティティーの喪失』

リード:
近年以前より多くの母親たちが、わが子に宇多田ヒカルのように流暢な英語を身につけさせようとしてインターナショナルスクールへ送りこんでいる。しかし、子供たちは本当にこうした学校から何かを得てばかりいるのだろうか?
Aのバイリンガルの母は彼女のためを思い娘をインターナショナルスクールへ通わせた。12年間のアメリカンスクールでの生活を終えて、Aは確かに多くの日本人たちが得ることのない機会に恵まれたと感じた。彼女はいまや日本語よりもずっとうまく英語を話すのだ。しかし、この経験は自分を日本の社会から遠ざけてることにもなってしまったと彼女は考える。

本文:

自分は特別だと思ってた。
自分は賢いような気がしていた。
無理せず2つの言語を話せる自分に誇りを持っていた。

いま、私は自分のアイデンティティについて困惑している。私は日本で生まれ日本で育ったけれど、今肌の下にある体は「日本人」という気がしないのだ。文句を言ってるのではない、途方に暮れているわけでもない、ただ12年間のアメリカンスクール生活を経て自分のアイデンティティについて疑問を持ったところでつまづいてしまった。

私のようにインターナショナルスクールに通っていても完全な日本人であるような人間は、周りの高い期待に応えなくてはいけない。西洋の文化も深く理解しなくては学校で落ちこぼれてしまう。しかしいったん家に足を踏み入れると、自分の顔を変え今度は日本人としての部分を見せなくてはいけない。そうしないと自分の両親から離れてしまうように感じるからだ。

日本で流行っているポップソングを知っているのと同時にMTVの「トップ20ビデオカウントダウン」で毎週紹介されるような歌を全部知ってることを楽しんでた頃もあった。映画館に行くとハリウッド映画のジョークを笑ってるのが自分だけであることが好きだった。でも現実の世界ではこれらのことが自分をどこかに導いてくれるわけではない。

もちろん、英語と日本語の両方で、「誰が誰を好きか」とか話したり先生の文句を言ったり出来るのだから、完全なバイリンガルのふりをしながら高校での時間をやり過ごすことぐらい出来るだろう。でも、こうしたことが出来たからといって、どちらかひとつの文化の中で自分を本当に安心させることは出来ないのだ。

これまでの人生の中、私はアメリカ文化と日本文化の間を飛び回ってきたけれど、これは日本人としての性質の一部を捨てることでもあった。クラスメートに好かれるためにアメリカ人みたいに自分を表現するようにもしなくてはいけなかった。同時に電車やバスの中では普通の日本人女子校生のように静かにしていなくてはいけなかった。

無意識に私は自分自身を「自国の中の異邦人」に作り上げてしまったのだ。私は同年代の日本人の主流にちゃんと適応することが出来ない。私は日本人や日本のテレビ番組やファッションの流行(金髪や厚底ブーツとか)を批判しながらも、自分が批判していることにすら気づかない。

少し前に誰かが私のことを「自分の国を差別する人間」と言ったことがあった。それまで私は自分がしていることが間違っていると思っていなかった。言われて初めて私は西洋文化を知っていることだけで自分が他の日本人よりも上であると勘違いをしていた自分に気づいたのだ。

以前は電車で友達と英語で話している姿を周りの人が見ることにとても満足していたこともあった。でも今は、これ以上目立ちたくない。私はただ、この国で皆と同じでいることに幸せを感じたい。そのためにたとえ厚底ブーツを履いて、髪の毛を金髪にブリーチするような極端な手段を取らないといけないとしても、私は本当の日本人になれたと感じるためならそうしなくてはいけないのかもしれない。私は日本人であることに誇りを持ちたいのだ。それが実現して、ようやく私の両足はこの国の地面に根を下ろしているのだと感じることが出来るようになったらいいと思う。

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以上です。

さて、次回は反対に両親の海外赴任により外国での生活を同じく経験した中で、比較的うまく両方の言語を習得する「日本人」となり得た人に話を伺いたいと思います。

(続きます)

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