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2007/09/26

背水の陣

新内閣を総理自ら「背水の陣内閣」と命名されたようです。

「背水の陣」は、(わたしが知る限り)もっとも有名なのは、紀元前200年前頃、中国を統一していた「秦」が衰え、『劉邦』率いる「漢」と『項羽』率いる「楚」の二大強国の戦いの中で活躍した「漢」の名将『韓信』の兵略です。

漢軍が北方の「趙」と戦うとき、自軍の兵士の士気が低く、戦力的にも不利であることを認識していた韓信は、趙軍を前にしてわざと、後ろに河がある状態で陣をつくります。
河といっても中国の大河。
もう引くことはできません。
そのような必死の状態に兵士を追い込み、また、背水の陣を引いた漢軍を見て「兵略の素人だ」と油断させて、韓信はこの戦いに勝つことができるのです。

背水の陣は、「後のない追い込まれた状況」ととらえられるかも知れませんが、むしろ、そういう状態を故意に創り出し、火事場の馬鹿力といいますか、兵士の能力を極限まで出させようという兵略(マネジメント)と見ることができます。
首相がそういう意味で、故意にこの言葉を使われたのなら、それは戦術のひとつでしょう。

この劉邦と項羽の戦いではもうひとつ有名な熟語「四面楚歌」という言葉も現れます。
これも「追い込まれた状況」には変わりありませんが、より絶望的な状況であり、しかも、心理作戦も含めて周到に楚軍を追い込んだ漢軍軍師の働きが光ります。
興味ある方はネットなどで調べてみてください。
中国の軍略はこんな時代から、人間の心理の奥底をついてくる、何ともしたたかなものだったということがよくわかります。

さらにもうひとつ有名すぎる言葉「国士無双」もこの物語からうまれました。
漢の臣『蕭何』が韓信を評価していったもので、国家にならぶもののない優秀な人物ということです。
これはご存じ麻雀の手役になりましたね(笑)

この戦いは漢の勝利に終わり天下統一を果たします。
我々が今「漢字」を使っているくらいですから、その時代の文化や知識がどれだけ大きなものだったか、はかり知れません。
その漢も衰えた後、いよいよ三国志の時代に突入するのです。
そうこの劉邦の「劉氏」の一族の血を引くと称して劉備玄徳が旗揚げし、漢の建国に力を尽くしたとされる曹氏、夏候氏の流れとして曹操孟徳らが旗揚げするのですね。

「史記」~「三国志」時代の中国の物語は、いま現在も有効な人間同士のコミュニケーション、戦略の宝庫です。

「ああ、2千年前も人間同士の戦いは何にも変わっていなかったんだなあ」

と思います。

最終更新時間 2007年09月26日 07:00

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