− 第18回 −
12月 雪化粧(ブリュッセル王宮) (2007年12月17日公開)
ブリュッセルではあまり雪は降らない。たまに降ると路面電車は止まり、車の姿も消えて街は森閑とする。普段はくすんでいる石造りの建物は真っ白な雪をまとい、まるで化粧直しをしたかのように鮮やかに見える。
極めつけは王宮だ。左右対称にただひたすら横に広がるだけのあまり興味を引かなかったルイ王朝風の建物だが、そこに雪が付くとまるで息を吹き返したかのようだ。窓枠は白々とその白さを際立たせ、まだらに雪をまとったドームの上では国旗が凛々しくはためく。ぼくは思わず姿勢を正して王宮を眺めた。
その王宮の前に徹夜で並ぶ市民の列ができた。1993年7月31日、ボードワン国王が亡くなり、この王宮で国民との最後のお別れの式が行われたのだ。王宮の力強さはあの雪の日が最後だったろうか。そう思った。
写真・文: 金子 晴彦










