− 第2回 −
4月 紫色の雲(ボア・デ・アル) (2007年4月9日公開)
目指す森は遠目には何の変哲も無い森だった。膨らみ始めた新芽のおかげで枯れ枝の先が赤く霞んでいる。しかし、何台もの車が畑の中の道を森の中へと向かっているのですぐにそれと知れた。
森に入ると途端に薄暗くなる。車を降りた。何か妙だ。あたりを眺めた。目の錯覚だろうか。森の底一面に鮮やかな紫色の雲が漂っている。そしてその中になめらかな樹肌の木々が亡霊の様に立ち並んでいる。落ち着いてよく見る。20センチばかりの花茎を立て、釣鐘状の紫色の花を十数輪つけた花(シラー・カンパニリャータ)が森の底一面、足の踏み場も無いほどに今を盛りと咲き乱れているのだ。行けども行けども花は続いた。
写真・文: 金子 晴彦











