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いのちのまなざし

− 第9回 −

白い平原[ボリビア] (2011年11月14日公開)

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世界で一番平らな場所でジャンプ。決まる写真が撮れるまで何度も跳ぶ。結果がすぐ見えるデジタル・カメラの普及が世界中で「跳ぶ」ことを流行らせている。


 サングラスを忘れて後悔した。アンデス山中、乾期のウユニ塩湖に立つと、見渡す限りの平らな白い世界が太陽の光で輝き、まぶしくて目をあけていられない。目を細めて光を調節するが、顔の筋肉が疲れてくる。

 富士山頂とほぼ同じ高さのウユニ塩湖は、四国の約三分の二もの広さがある。一説では、塩が乾くとき地球の重力に向かって結晶するので非常なる平面ができる、という。

 広い塩湖の中に魚の形をした島があり、高みから広大な塩湖が見渡せる。大きなサボテンは樹齢数百年を超えるそうだが、人が意識的に植えた、といわれる。寄りかかりたいほど頼もしいが、トゲが痛そうでできない。島はサンゴ礁の化石で覆われている。

 


外国人や地元の観光客で賑わう「魚の島」には、樹齢数百年のサボテンが立ち並んでいる。島の正式名称はイスラ・インカワシといい、ウユニの町から塩原を約100キロ行ったところにある。

 ここは近年、外国人に人気が出てきたが、休日には地元のボリビア人も大型バスでやってくる。外国人観光客も地元の人も、島でサボテンの林を歩いた後、白い塩の平原で心を解き放ったように遊んでいる。外国人はこの風景に我を忘れて記念写真を撮るのに忙しい。 見渡す限りの絶対平面の上で自分を確認できるのは、天空と地平線、遠くの山並みだけだ。ここに立つと余分なことを排して純粋な自分だけになることができ、生まれ変わって新しい自分をスタートできるような気持ちになれる。

 塩湖からウユニの町へ向かう途中に採塩で生活する人たちのコルチャニ村がある。塩は家庭や放牧する家畜用として需要がある。自然の恵みの塩だけで生活を営んできた人々は、自分たちのアイデンティティーに自信を持って、塩で作ったみやげ物を売る。


採塩で生活する人たちが住むコルチャニ村にて。塩で作ったみやげ物を売る。背後には一つ5ペソ(約50円)の塩ブロックを積んで造った家がある。


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執筆者 : 小松 義夫(こまつ よしお)
フリーカメラマンになって40年目になった。1981年に、TVドキュメンタリー撮影カメラマンとして、世界第二のヒマラヤの高峰K2登山に参加、標高7000メートルまで登った。人間が子孫を残せる高度はせいぜい5000メートルまでだと体験し、人間存在のはかなさを知った。以後人が生活を営む形、「家」を中心とし人々の生活を含め世界各地を取材して回っている。取材国は100数十カ国余りで同じ取材地を再訪することも多い。





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