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トップITトレンドIPv6 ONLINE JOURNAL IPv6普及・展望編 第4章
IPv6 ONLINE JOURNAL
IPv6普及・展望編 第4章
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IPv6によるネットワークならではの利点
 「一般の映像と比較して医療画像は、1)高解像度(微細な解剖を識別するため)、2)高速(スムーズな動画を得るため)、3)マルチチャンネル(医療動画像の他に、音声や関連資料を伝送するため)を必要としますので、その配信には超高速の回線が必須となります。従って、海底ケーブルを介する日韓超高速ネットワークは、手術支援プロジェクトの環境として非常に適していました。また、1月に独立法人国立病院機構・国立がんセンターの水島洋先生と共同で、日本−ハワイ間をIPv6で結んで医療カンファレンスを行いました。IPv6を国際間医療で利用するのは、本プロジェクトがはじめてですが、マルチキャストなどの配信を想定する上で、必要不可欠だと考えています」(中島氏)。

 「一方、内視鏡外科手術は、低侵襲、医療費削減の観点から1990年以降一気に普及した手術ですが、普及のスピードは、国や地域で大きく異なります。そのため、日本で確立されつつある内視鏡外科手術を韓国の専門医と協議しながら、改良・普及させる意義は、医療現場からみても大きいと言えます。幸いにも韓国はIT先進国と呼ばれ、インターネットやブロードバンドの普及率は世界一です。この遠隔手術支援の技術が確立できれば、日本からの情報発信は内視鏡外科手術に留まることなく、これを一つのモデルとして日韓双方のあらゆる医療分野に発展できると考えています」(清水氏)。

 ネットワークを介したオンラインの交流や情報交換は、物理的なコミュニケーションに100%置き換わるものではないが、補完や強化の点で大きな意味を持つ。

 プロジェクトの一環として実施された別の手術では、ある手術に熟練した日本の医師が、韓国側で当該手術における経験の少ない医師に、リアルタイムでアドバイスすることで、手術を成功に導くことができたと言う。そのため、韓国側からの多くの感謝と共に、両国の医師たちからも感動の声が多数寄せられた。

手術の様子
手術の様子
受信画像を見ながら意見交換
受信画像を見ながら意見交換

 「オンラインによるメリットは、同時に多数の人に見てもらうということが可能になる点です。同時にカンファレンスなども可能となりますから、従来実現が困難だったことが、いとも簡単にできるようになる点が非常に大きな意義を持っています。従って、今後はIPv6によるマルチキャストなどによる配信に高い期待がかかっています。ただし、医療現場では、誰しも非常に多忙です。そのため、より簡単にネットワークを利用できる環境でないとなかなか普及しません。また、これから活用が進むかどうかは、コンテンツの魅力が重要な要素となります。さらに遠隔医療には画像が欠かせません。手術のモニターと同品質の画像の送受信が可能となれば、手術画像はもちろん、内視鏡や病理の分野での活用にも期待しています」(清水氏)。  「また、実際には医療は対面医療が基本となります。遠隔医療の普及には基盤となる法制度の改定や支援も必要です。なんでもオンラインで可能になるわけではありません。どのようなケースで、オンラインを活用すべきか、明確な基準が不可欠になります。安心して遠隔医療サービスを享受していただくためには、ネットワークなどのインフラの整備だけでなく、利用に関するガイドラインなど多くの検討課題が残されていることも事実です」(中島氏)。  今後は、さらに高品質の画像の流通が可能になり、マルチキャストなど多数の画像配信を国際間で実現される環境が整いつつある。こうした技術に支えられ、医療分野での国際交流も大きく発展することが予測される。また、日本の医療に対する国際的な期待も大きい。特に医療機関の配備が不十分な地域が多い中国などでは、日本の医療技術に高い関心を持っており、遠隔医療に関する期待も高い。  九州では、アジアの中心拠点としての"地の利"を生かし、従来からアジアのネットワークハブを目指し、国際交流活動に積極的に取り組んできた。今回実施された一連の国際文化交流実験は、IPv6関連技術によるインターネット利用基盤の有効性を技術的・社会的な観点から検証した点で大きな意義を持っている。近い将来の高度IT社会における日韓文化交流の姿を実証した本実験は、今後の国際交流の雛形として大きな期待が寄せられている。

(2004年6月21日公開)
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