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愛媛県魚島村は瀬戸内海のほぼ中央に位置し、魚島、江ノ島、高井神島の3島からなる、人口334人(平成12年国勢調査)の西日本でも有数の小さな自治体である。古くは古代朝鮮との交流の拠点、室町・戦国時代には村上水軍の根拠地として、重要な位置を占めていた。また、周辺海域は鯛を中心とする瀬戸内海漁業の中心でもある。魚島村は、難視聴対策に始まる村営CATVを備え、海水淡水化施設や下水道の整備など、村民の生活環境の整備に力を注ぎ、現在下水道普及率は100%である。同村では、離島という地理的な隔絶性を解消するため、村を挙げてIT化の推進に取り組み、2001年度毎日・地方自治大賞奨励賞も受賞している。魚島村長・佐伯真登氏、同村役場総務課長・植田正美氏、同主事補大石晃裕氏に話を聞いた。
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魚島村役場総務課長
植田 正美 氏
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魚島村役場主事補
大石 晃裕 氏
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離島という制約を逆手にとり、インターネットによって情報を積極的に発信
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――最初に、魚島村の地域的な特徴をお聞かせ下さい
植田:一言でいうと「内海の離島」です。瀬戸内海のような内海の島は、本土や大きな島との間にほとんど橋が架かっているか、架かろうとしています。橋が架かっておらず、周りに何もない内海の離島は魚島村くらいなのです。
佐伯:亡くなられましたが、香川県から出た大平正芳元首相が、これからは高速道路はなくてはならない、スピードの時代だと言って、一生懸命、高速道路網を整備した。そしていま、中国には山陽道、四国には松山自動車道、そして瀬戸内海は西のしまなみ海道に、東の瀬戸大橋が完成した。しかし魚島村はちょうどその真ん中にあるがどこからも遠い。本物の離島です。
植田:外海の離島であれば、距離的にも離れているので、あきらめもつきます。しかし、広島の尾道や愛媛の今治まで、せいぜい直線距離では30kmほどで、漁船でも1時間で行ける。ところが交通ルートは1日4便の村営汽船しかなくて、ちょっとした用足しに本土まで行こうと思っても、船を乗り継いで1日がかりになってしまう。村外からの交流人口を増やして、島の活性化を図ろうとしても、日帰りではできないのです。その意味で、離島性からの脱却が最大の課題です。
――しかし、道路網が整備された結果、そこが通過点になってしまって、逆に街がさびれてしまったという話も最近はよく聞きますが。
佐伯:瀬戸内海の自治体の多くは、橋が架かれば島が活性化すると言ってきました。私は以前から、『橋を利用して島をよくしよう』という住民の主体的な取り組みがなければ、橋を架けても島は良くならないと言ってきたのですが、案の定、橋を架けただけではうまくいっていないところも多いようです。いまや、魚島村は橋が架かっていない唯一の島になってしまった。そこで、それを逆手にとって、本物の島としての魚島村をPRしていかなくてはいけない。こういう小さな島だからこそできる振興策というものがあるはずだと、ずっと考えてきました。情報化、ITへの取り組みもその一環なのです。
――インターネットに取り組んだきっかけは何ですか。
植田:たまたま教育委員会に所属していた職員がインターネットに関心が高く、広報も兼務していたので、平成8(1998)年に村のホームページを立ち上げました。(http://www.vill.uoshima.ehime.jp/)それを活用するためには、職員がPCを使えなくてはならないということで、庁内LANも整備したのです。役場内にITに詳しく、積極的にひっぱっていく職員がいなかったら、ここまで整備されていなかったでしょう。愛媛県下の自治体でもホームページを立ち上げたのは、1番目か2番目かで、庁内LANやPC1人1台体制の整備も早い方です。それから、村長が「新しいもの好き」だったことも大きいと思います。机の上にある知事と結んだテレビ電話も、県下の首長で一番に申し込んだくらいですから。トップが「やれ、やれ」ということで、後は皆で突っ走ってきたというところがありますね。
――インターネット導入によるメリットはありましたか。
植田:今までは情報を一方的に得るだけでしたが、インターネットによって、情報をこちらから発信することができます。これは一般的によく言われていることですが、魚島村のような離島にはとても大きな意味があります。今まで魚島村を知らなかったのに、ホームページを見て、わざわざ不便なところを来島する人も出てきました。
佐伯:平成8(1998)年に村のホームページで『村民募集』をやりました。全国から大きな反響があり、生徒がいなくなった高井神中学校を存続させ、休校中の小学校を復校させることができました。現在12世帯38人(村の人口の一割)の方が転入され、貴重な人材として活躍されています。最初に住まれた人で、PCさえあれば仕事ができるという方がいたので、漁業だけでなく、インターネットを利用した在宅勤務(SOHO)の可能性もあるのではないかと考えました。それも地域インターネット整備事業をやろうというきっかけになったわけです。
植田:70−80歳のお年寄りがメールのやり取りをするようになったというのは、よく聞いています。メールをやり取りすることによって、新しいコミュニケーション手段が増えるわけで、独居老人の孤独感を和らげる効果もあると思っています。魚島村では、各家庭に村がPCを設置することは行っていませんが、以前、あるPCベンダーが講習会を開催した時も、PCを持っていない80代の夫婦が見えました。ですから、やりたい人が自分で買って使っていく中で、PCやインターネットに慣れていけば、さらに様々な可能性が生まれてくるだろうと考えています。
大石:IT講習会を平成12年度から毎週1回行い、これまでに20数回開催しています。その上で、PCの設定や使い方などが分からない場合、私が直接、家まで出向いてサポートしています。お年寄りに教えるのはなかなか難しくて、何回も行くわけですが、前に教えたことを忘れてしまう。紙に書いて置いてくるのですが、それでも難しいです。公務外のボランティアなのですが、充実感はありますね(笑)。
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