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VisionTalkでは、今後のブロードバンド社会についてのさまざまなビジョンを、各界の有識者の方々に語っていただきます。今回は東京大学教授の坂村健氏に、「ブロードバンドのビジョン」についてお話を伺いました。時代は分散型情報配信の時代になりました。坂村氏はブロードバンドで何が変わるかではなく、ブロードバンドを生かしてどう変えるか、が重要だと主張します。インターネットは、少量多品種を提供できる最も有力な手段です。かつては情報を持つことが権力でした。インターネットで情報公開を進めることは、権力の解放をも意味します。
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時代は分散型情報配信
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--ブロードバンドが急速に普及していますが、日本の社会はどう変わっていくのでしょうか
ブロードバンドも大事ですが、これからの世の中の展望ということであれば、あらゆるネットワークが大事なんです。インターネットに繋がるという前提で、私は、携帯電話もICカードも無線LANも欲しいと思っています。もちろん、ブロードバンドはその中の基幹になりますから、重要なことは確かです。でも、あらゆるネットワークの全てが大事なんです。
ブロードバンドの普及のため、日本中に光ファイバを引こうという考えがありますが、地方と都会は人口が違いますから、光ファイバを引くコストに対する収益が違いすぎます。無理をすれば、そのコストを誰が負担するかという問題が出てきます。だからといって、地方はブロードバンドを使うな、というわけではありません。地方では都会とは違ったやり方があります。皆が皆、同じことをするのではなく、それぞれに適したやり方を選ぶことが大切です。
また、最近は通信の価格破壊が早すぎます。通信料金が激減すると、不況を引き起こしてしまいます。アメリカがIT不況に陥ったのは、通信の自由化で価格破壊が起こり通信会社の業績が悪化したことも原因の1つです。IT不況の原因にはいろいろありますけど、ITの持つ可能性が強すぎることが大きいでしょう。そのために世の中が急速に変わり、そのツケがまわって来たともいえるわけです。格安の通信コストで参入しても思ったように利用者は増えません。無理なく時間をかけて下げていくべきだと思います。
さらに、競争が過剰になると倒産する企業が出てくる。そうすると、収れんが起こって独占になります。独占が起こると値上げが始まって、さまざまな弊害が出てきます。これが一番怖いことです。本来、アメリカでは自由競争と独占禁止がペアになるべきところに、競争が過剰になって淘汰が起こり、今は旧来の地域電話会社による独占が再び心配されています。何のための自由化か考えてしまいます。このアメリカ型の競争をそのまま日本に持ち込んで良いのか、よく考えるべきです。やはり、日本にあったモデルを考えるべきであり、日本のモデルを重要視すべきだと思います。
安いから良いということだと、ただの価格競争になってしまいます。今や、安かろう悪かろう、という時代ではないのです。質が求められています。安くなることが社会を変えるのではなく、質が変わることで社会が変わるという考え方が必要です。
--ソフト面ではいかがでしょうか
ユーザーが同じものでは納得しなくなってきました。このようなユーザーのニーズに対して、インターネットは少量多品種を提供できる唯一の手段です。その一例として電子出版があります。まだ十分に普及していませんが、これも急激に普及させようとしてはいけないのです。長い目で見る必要があるのです。
文化でいえば、20世紀はマスメディアが主導した文化展開でしたが、21世紀は多様な人々による文化展開に変わっていくと思います。言いかえると、集中的な情報配信から分散型の情報配信に変わっていき、人々もそれに慣れていくと思います。今混乱が起きているのは仕方がありません。今後、大量の情報の中から自分に必要な情報を見つけることに慣れた人々が増えるに従って、徐々に変わっていくでしょう。
繰り返しになりますが、急激に進めるからひずみが生じるんです。長い目で見ないとダメなんです。
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